第9章 社内での密事
「昔のデータを見直すってやっぱり面白いですね」
「…そうだな」
新商品を企画、開発するにはやはりデータを見直す事も重要だ。
消費者からの声、他社との違いをどうアピールしていくか…などなど。
すでに開発部ともミーティングをし始めていたが、私と野宮先輩は改めて参考になりそうな資料を読み漁っていた。
「あまり根詰めても良くないからな…適度に目休めろよ」
そう気遣ってくれる先輩に頷き、うーんと大きく伸びをする。
けれど休めと言った張本人の彼は、息抜きする間もなく延々と資料に目を通していた。
(やっぱりカッコイイな…)
改めて見ても、仕事に取り組むその真剣な表情には目を奪われる。
こんな素敵な人が自分の恋人だなんてまだ信じられないくらいだ。
(…手も綺麗)
体に比例して大きな手。
指は男らしく骨張ってはいるが細長い。
あの夜触れられた感触を今でも鮮明に覚えている。
私の髪の毛、頬、そして体の至るところに彼は優しく触れてくれた…
「…どうした?」
「っ…」
不意に声を掛けられハッと我に返る。
(私ってば仕事中に何考えてるの…!)
「な、なんでもありません…」
「…そうか?なんか顔赤いけど」
「ゃっ…」
突然頬に手を触れられ変な声を出してしまった。
驚いたのは彼も同じだったのか目を丸くさせている。
「す、すみません…!私、何か飲み物でも買ってきますね!」
そう言って立ち上がった瞬間…
「…!」
「…こっち来て」
私の手を取り、ドアに鍵を掛けに行く先輩。
そして何故か部屋の奥へと向かっていく。
「…ここなら監視カメラにも映らねぇな」
「せ、先輩…?」
独り言のように呟いた後、彼は私の唇を塞いできた。
驚いて目を閉じる事すら忘れてしまう。
「俺の事…物欲しそうな顔で見てただろ?」
「っ…」
唇を離した彼が意地悪そうに笑ってそう言ってきた。
どうやら私の視線に気付いていたらしい。
「そ、そういうつもりじゃ…」
「俺はお前と2人きりになった瞬間からエロい事考えてたけどな」
「なっ…」
「お前とセックスしてからもう1週間経ってるし…そりゃ溜まるもんも溜まるだろ」
「んっ…、」
そう囁いて彼はもう一度キスをしてきた。
今度は触れるだけじゃなく、舌を忍び込ませて…
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