第8章 2人で迎えた朝
「なんかすみません…朝ご飯まで作ってもらっちゃって……」
シャワーを浴び終え、部屋に戻ってきた先輩と一緒に朝食を頂く。
(こういう場合、普通は私が作るとこだよね…)
自分の女子力の低さに泣けてくる。
けれど先輩はそんな事気にする風もなく、「俺が作りたかっただけだから」と言ってくれた。
彼はぶっきら棒なところもあるけど、優しい人だと思う。
その上カッコ良くて仕事も出来て…こんな人が彼氏だったら幸せだろうな…
ふとそんな事を考えてしまった。
「…何?」
「……、」
無意識にじっと見つめてしまったせいか、不思議に思ったらしい先輩がこちらを見つめ返してくる。
どうしよう……告白の返事、ちゃんとしなくちゃ…
「あの…昨日の事ですけど……」
「……ああ」
「先輩は、その……本当に私でいいんでしょうか…?」
「………」
そう問えば、少し呆れたように溜め息をつく彼。
「お前"で"じゃねーよ…。俺はお前"が"いいんだ」
「……、」
「それとも何?昨日あんだけ抱いたのにまだ足りなかった?」
「っ…、ちがいます…!」
「だったらくだらねー事聞くな。今度同じ事聞いたら、有無を言わさずその場で犯すから」
「…!」
…とんでもない事を言ってくる。
でもこれで決心がついた…
「私…先輩の事はまだまだ知らない事が多いですけど……だからこそもっと知りたい…です」
「……。それって…昨日の告白の返事はオッケーって事?」
「……はい」
「…そうか」
私の答えを聞いた先輩はホッとしたように目を伏せる。
そして柔らかく笑って…
「…ありがとう」
と呟いた。
その表情にドクンと心臓が跳ねる。
こうして彼の笑顔を見るのはまだほんの数回だったが、今まで見た中で一番優しい表情だった。
ドキドキと心臓が早鐘を打ち、顔に熱が集中する。
そんな私に気付いた彼が今度は意地悪そうに笑って…
「色々教えてやる…俺の事」
「……、」
「付き合う事になったからには…セックスだってあんなもんじゃ済まさないから覚悟しとけよ?」
「…!」
その言葉を聞いて、私は返事を早まったかもしれない…と少しだけ後悔するのだった…
*