第8章 2人で迎えた朝
「…ん……」
(なんかイイ匂いがする…)
そう思いながら目を開けると、そこは自分のベッドの上で…
「…起きたか」
「……、」
そしてキッチンの方から聞こえてきた声。
そこには何故か野宮先輩が立っていた。
(…え……?)
「その顔…まだ寝ボケてんな」
「………」
マグカップを手にこちらへやって来る彼。
「ほら…これ飲んで目覚ませ」と促されるままそれを受け取る……ホットミルクだ。
「あ…あの……私…、」
「まさか昨日の事…覚えてないなんて言わねーよな?」
そう言いながら、彼は私の隣に腰を下ろす。
昨日は先輩に「好きだ」と告白されてそのまま…
「っ…」
カァッと顔が熱くなる…持っていたマグカップを危うく落とすところだった。
「昨日…3回目の途中で、お前気ィ失ったんだよ」
「…え、」
「悪かったな…無理させて」
「……、」
そう謝られ、昨夜の情事が鮮明に甦ってくる。
あんなに濃くて気持ちのイイHをしたのは正直初めてだった。
告白されたとはいえ、まだ返事もしていないのに彼の前であんなに激しく乱れてしまった事を恥じる。
「すげー良かった…お前とのセックス」
「っ…」
「勝手に冷蔵庫開けて悪いと思ったけど…今、朝飯作ってたんだ。まだ少し時間掛かりそうだから、その間お前シャワー浴びてこいよ」
「……、」
「…つーか、早く何か着ねーと襲うぞ」
「…!」
脅されるようにそう言われ、私は彼の顔をまともに見る事も出来ないままバスルームへ駆け込んだ。
(朝から心臓に悪い…!)
というか私、ホントに先輩とシちゃったんだ…
何だかまだ下腹部に違和感がある…まるで彼のモノが入っているような……
そこまで考えて、ふるふると頭を横に振った。
体がまた火照ってきそうだったから…
(告白の返事……どうしよう)
先輩の気持ちは本当に嬉しい。
最初は信じられなかったけど…彼はいい加減な事を言う人ではないだろうし、体を重ねている時もその気持ちがすごく伝わってきた…
正直断る理由は何もないのだけれど…
「…俺もシャワー借りていいか?」
「は、はい…どうぞ」
「飯…先に食ってていいから」
そう言って私と入れ替わるようにバスルームへ向かう先輩。
けれど作ってくれた本人を差し置いて先に頂く訳にもいかないだろう。
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