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たとえば、キミを愛する倖せ【短・中編集】

第1章 たとえば、君に名を呼ばれる倖せ【名探偵コナン/安室 透】


「あれ? 詞織さん?」

「あ、本当だ。こんにちは」

 驚いたことに、蘭と園子が詞織へ声を掛けた。

「こんにちは、蘭ちゃん、園子ちゃん。学校帰り?」

「はい。今、帰って来たところで」

「びっくりしました。詞織さんとここで会うなんて」

 そう話す蘭と園子に、彼女は席を詰めて、座るように促す。

「うん。友達のオススメで寄ってみたの。そっか、蘭ちゃんの家、この上の階だったね」

 頷く蘭に、コナンが「蘭姉ちゃん」と呼んだ。

「知り合いなの?」

 ちょうど、安室も聞こうとしたタイミングで、コナンが口にしてくれた。

「あ、コナン君は初めてだよね。彼女は神結 詞織さん。帝丹高校のOGなの」

「詞織さんは神結グループの娘で、今は米花音楽大学に通ってるのよ。詞織さんの家に招待されたときに蘭も一緒に連れて行って……蘭はそこで知り合ったんだよね」

「そうなんだ。初めまして。僕、江戸川 コナン」

「え……?」

 怪訝な表情をした詞織は、ジッとコナンの顔を見つめる。

「えっと……僕の顔に、何かついてる?」

 その言葉に我に返ったらしい詞織は、首を振って「ごめんね」と謝った。

「初めまして、コナン君。蘭ちゃんから話は聞いてるわ。恋人の新一君にそっくりな少年探偵を預かってるって」

「べ、別に新一とは恋人ってわけじゃ……っ!」

「何言ってんのよ! ロンドンで告白されたんでしょ?」

「えっ⁉ いつの間にそんなに進展して……それで? 返事はしたの?」

「そ、それは……えっと……」

 顔を赤くする蘭に園子と詞織が笑う。
 そして、自分の話題が出たわけでもないのに、コナンも顔を赤くしながら、居心地悪そうに引きつった笑みを見せていた。
 そのことに疑問を持ちつつも、安室はコナンたちの分の水も運び、会話に参加する。

「いらっしゃいませ。珍しいですね、蘭さんたちがこの時間にポアロへ来るなんて」

「実は今朝、寝坊しちゃって。ご飯のタイマーを入れ忘れてたんです。だから、たまには外で食べちゃおうかなって」

 困ったように笑う蘭に、「そうですか」と相槌を打ち、安室は詞織へと視線を移した。
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