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たとえば、キミを愛する倖せ【短・中編集】

第7章 たとえば、君を語る倖せ【クロスオーバー】


*Side アピス*


 奇妙な機械の画面に写っていた安室の恋人と黄瀬の彼女。
 そして、日番谷が見せた写真の少女(本人曰く部下)。

 まぁ、アピスのいる夢王国にいる王子は、幼くとも政務に取り組んでいる者もいるため、そこに対する疑問はない。

 三人の愛する女性は、確かに可愛らしかった。
 だが、自分の婚約者には遠く及ばない。
 しかし、そう思っているのが自分だけでないことはすぐに分かった。

「オレの彼女は超カワイッスけど、それだけじゃないっス! 一度見た他人の動きを模倣(コピー)できるんスよ!」

「それはすごいですね。ですが、僕の恋人も負けてませんよ。彼女は、相手の声の調子で嘘を聞き分ける耳を持っていますから」

「俺の部下はすでに卍解(ばんかい)を習得している。隊の三席以下じゃ、使えるのはアイツくらいだ」

「僕の婚約者は、謳魔法が使えるよ。枯れた花も風邪もすぐに治せる」

 どうやら、彼らの最愛の女性も特殊な能力を持っているようだが、自分の婚約者だって負けていない。

 いや、負けるわけがない。

「……卍解?」

「……謳魔法?」

 聞き覚えのない単語に安室と黄瀬が反応する。

 説明する分には構わないが、日番谷にその気はないらしく、ふぃっとそっぽを向いた。

 そんな少年の様子に気づいたのか、二人もそれ以上の追求は止め、さらに語り出す。
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