第7章 たとえば、君を語る倖せ【クロスオーバー】
四人は互いに目配せをし、「せーの!」と掛け声をかけたわけでもないのに、まったく同じタイミングでソレを見せた。
安室の待ち受け画面は、黒く長い髪の少女だった。年齢は二十歳前後。
琥珀色の大きな瞳の少女が、どこかのカフェで紅茶を飲んでいる様子を写したようだ。
黄瀬の待ち受け画面も、黒髪の少女。
深い海を思わせるような瞳が印象的だ。年齢は黄瀬と変わらないくらい。
二人でどこかのテーマパークに行ったときのものらしく、満面の笑みで写る黄瀬に対し、彼女は恥ずかしそうにはにかんでいる。
アピスの写真に写っていたのは、黄瀬と歳が変わらないくらいの黒髪の少女だ。
突然レンズを向けられたのか、黒水晶のような大きな瞳を驚きで丸く開いた表情が可愛らしい。
日番谷が彼らに見せた写真は、三席が眠っていたときのものだ。
現世だと中学生くらいの少女である。
綺麗な黒髪がやや乱れ、無防備な寝顔をさらしている。
なるほど、と日番谷は内心で頷いた。
彼らが言うだけあって、安室の恋人も、黄瀬の彼女も、アピスの婚約者も可愛い、もしくは美人だ。
しかし。
やはり、自分の部下の可愛さには遠く及ばない。
だが、そう思っていたのは日番谷だけではなかった。
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