第7章 たとえば、君を語る倖せ【クロスオーバー】
*Side 日番谷*
「君……日番谷君だったね。君も言いたいことがあるんじゃない? そんな顔をしているよ」
アピスにそう言われた日番谷が真っ先に思ったのは、「コイツら、頭は大丈夫か?」ということだった。
馬鹿な大人がくだらない争いをしているのだ。
そんなモノを見せられて、そう思うのも無理はないだろう。
誰しも、自分の彼女や恋人、婚約者を一番可愛いと思うのは当然。
日番谷とて、部下である三席を可愛いと思っている。
「何聞いてんスか、アピスさん。日番谷君はまだ子どもっスよ」
「は? 何だと?」
それは聞き捨てならない。
子どもだったら何だと言うのだ。
っていうか、子どもじゃないし。
「俺にも惚れた女くらいいる。お前らの女よりも、ずっと可愛い部下がな」
ついつい本音が出てしまった日番谷。
結局、自分の最愛の女が一番だと思っているのは、日番谷とて同じなのだ。
彼の言葉にカチンッと来たらしい安室たちが、揃って顔を引きつらせる。
「へぇ……それほど言うのなら、ぜひ見せていただきたいですね」
「よっぽど可愛いんだろうね」
「写真とかないんスか?」
安室と黄瀬が携帯を取り出した。
アピスも懐から一枚の紙を取り出す。
写真を見せてもらうという口実で、自分の恋人をお披露目したいらしいと、日番谷は解釈した。
日番谷は面倒だと思いながらも、肌身離さず持っている三席の写真を取り出す。