第7章 たとえば、君を語る倖せ【クロスオーバー】
「黄瀬くんは、お仕事のご予定ですか?」
やや張り詰めた空気を変えようとしてくれたのか。
安室がそう話題を切り出した。
「仕事じゃないんスけど、スゲー大事な用事で! 今日は彼女とデートなんスよ!」
普段からバスケと仕事で、放課後に少し会えたらいい方だったから、今日のデートは楽しみにしていたのだ。
「彼女ですか。同じ業界の方ですか?」
「いや、モデルとかじゃないっス。まぁ、モデルやってる子よりもずっとカワイイっスけど。きっと、俺の彼女よりカワイイ子はいないと思うっス」
ふふん、と自慢げに言った黄瀬だったが。
この言葉に、三人がピクリと眉を動かす。
こうして、戦いの火蓋が切って落とされた。
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