• テキストサイズ

たとえば、キミを愛する倖せ【短・中編集】

第6章 たとえば、君を守る倖せ【BLEACH/日番谷冬獅郎】


「そういえば、日番谷隊長」

 名前を呼ばれ、「何だ」と振り返る。
 ガラス玉のような紅黄色の瞳に見つめられ、忙しなく心臓が脈を打った。

「少し、気になったんですけど……わたしは、いつから隊長に惚れられていたんですか?」

 コテンッと首を傾げながら、詞織は唐突に大きな爆弾を投下する。

「な……っ」

 何でお前が知っているんだ⁉

 喉元まで出かかって、思い出す。

 昨日、中級大虚と戦っていた最中にした、自分の発言を。


 ――「俺の惚れた女は、こんなことすら乗り越えられないほど、弱い人間じゃねぇ」


 顔が真っ赤にっているのが、自分でも分かった。
 何と言い訳しようかと考えるが、良い案など浮かばずに、ただグルグルと意味のない思考が回る。

「わたし、思ったんですけど……」

 ビクッと肩が震えた。

 何を言うつもりなのか知らないが、次の少女の発言で心臓が止まるような気すらする。

 視線を合わせられず、日番谷の翡翠の瞳が彷徨う。
 それに気づかないまま、詞織は言葉を紡いだ。

「わたしも、日番谷隊長のこと、好きだと思います」

「…………は?」

 意味が分からない。


 彼女は今、何を言ったんだ?


 そんな表情が顔に出ていたのか、詞織はさらに言葉を重ねた。

「わたし、昨日、日番谷隊長が駆けつけてくれたとき、すごくホッとしました。日番谷隊長が背中を任せてもいいって言ってくれて、自分を誇らしく思いました。わたしを強いって言ってくれて、わたしはその想いを裏切りたくないって思いました。わたしを『惚れた女』だって言ってもらえて、すごく……」

 ――すごく、嬉しいって思ったんです。

 そう、少女は続けた。

 はにかんだように、少しだけ俯き加減で。
 それでも、詞織は微かに笑っていた。
/ 196ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp