第6章 たとえば、君を守る倖せ【BLEACH/日番谷冬獅郎】
「大丈夫ですか?」
「もともと大丈夫だもの」
「骨にヒビ入ってたヤツが何言ってんだ。山田、世話になったな」
後半は花太郎に掛けた言葉だ。
気恥ずかしそうにはにかむ彼に、詞織は「ここで会ったのが運の尽きだった」と小さな声で呟く。
「日生」
それを聞き逃さなかった日番谷が咎めるように名を呼べば、少女は目を合わせずにそっぽを向いた状態で、「ありがとうございました」と小さく礼を口にしたのだった。
* * *
夜の十番隊舎を、日番谷は歩いていた。
宿直の隊士と雑務処理をしていた自分以外は残っていないだろう。
そこへ、微かな言葉が耳に届いた。
気のせいか、と思うほどに小さな声だったが、耳を澄ませば確かに聞こえる。
声を辿れば次第にはっきりとした旋律となった。