第6章 たとえば、君を守る倖せ【BLEACH/日番谷冬獅郎】
「ちわーっす」
つるりとした頭と、見るからに柄の悪そうな顔立ちの青年。
護廷十三隊でも荒くれ者が集うとされる、十一番隊第三席の斑目 一角である。
「おぉ、日生。お前もいたのか」
「お疲れさまです、斑目三席」
「相変わらず固ぇな」
そう言いながら、「日番谷隊長」と執務室へ入る。
「これ、この前の合同任務のときの報告書です」
「期日遅れだ。気をつけろ」
「すんません。書類仕事はどうも苦手で……」
はぁ…と、日番谷はため息を吐いた。
十一番隊が書類の期日を守るのは稀である。
何を言ったところで、結局は今さらだ。
「斑目三席。日番谷隊長だって暇じゃない。せめて、期日は守るように、十一番隊の人たちにも声を掛けて欲しい」
「……ちっ、わーったよ」
悪いと思う気持ちはあるらしく、詞織の言葉に、斑目は禿頭(とくとう)を叩きながら頷いた。
「それでは、わたしは乱菊さんと……」
「おい、日生」
餡蜜を食べに行く、とでも言おうとしたのか。
そんな少女の台詞に被せるように、斑目が詞織を呼んだ。
「何ですか、斑目三席。わたしは今から、乱菊さんと餡蜜……」
「時間があるなら、十一番隊の隊舎に来いよ。手合わせにつき合ってやる」
「行く」
キラーンと詞織の目が輝いた。
「ちょっと、詞織! 餡蜜は⁉︎」
嘆く松本に、少女は小さな唇を開く。
「わたし、甘い餡蜜は好き。でも、餡蜜食べるより、鍛錬したい。誰にも負けない為に」
その言葉に、日番谷はピクリと反応した。
「そんなぁ……」
がっくり肩を落とす松本をスルーして、「先に行ってるぞ」と斑目が十番隊の執務室を出て行く。