第5章 たとえば、君を知る倖せ【黒子のバスケ/黄瀬涼太】完
「よしっ! 1on1やるっス! バスケのルールは分かるっスか?」
「一応、基本的なことなら分かるけど……でも、黄瀬くんは部活をしてたわけですし……残念だけど、別の日に……」
「詞織っちとするバスケは別腹っスよ! そういうわけで、まずは詞織っちから!」
1ゴール1点。10点先に取った方が勝ち。
得点するごとにオフェンスとディフェンスを交代するルールで行くことにする。
軽くボールを投げると、彼女は危なげなくキャッチした。
大好きな子と、大好きなバスケをする。
まるで、夢のようだ。
もしこれが本当に夢なら、あと五時間は覚めないでほしい。
ダンダンッと詞織がドリブルを始める。
踏み出した彼女が黄瀬の横を通り抜けようとしたが、黄瀬はすれ違い様にそのボールを取り、ドリブルをして詞織が守るゴールへ向かった。
そのままの勢いをキープし、ゴール下で足を踏み込み、高く跳躍する。
ゴールにボールを置くようにして手を離せば、ボールはそのまま中へ落ちた。
レイアップシュートだ。
「まずは1点スね」
得意げに笑って見せれば、詞織は悔しそうに頬を膨らませた。
……可愛いすぎ。
案外、根は負けず嫌いなのかもしれない。