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言えない”スキ”の伝え方【HQ】

第2章 春、入学、早々に大問題。



中学の時もそうだったからと覚悟はしていた。
けれどこれはあからさますぎるでしょう。

登校すれば、私の机の周りには女子が戯れていた。

昨日の入学式でリエーフのことを知ったのだろう。
そして同じ名字が3年にいることを思い出した。


そう。
イケメンの情報収集。
それがしたいがために私の机に群がっている。


嫌だな。
そう思いながら教室に入り自分の席に座れば群がる女子。


「ねえねえ灰羽さん。1年生に灰羽って男の子が入学してきたみたいなんだけど…」
「弟。」
「灰羽さんって日本人顔だよね?」
「母がロシア人だからハーフ。私は父に似たの。弟は母似。」
「弟くん格好良いよねー。紹か「私、弟に関してはノータッチなんで仲良くなりたいなら本人に言ってください。」

私がそう突っぱねれば、リエーフにお近づきになりたいと思って私に向かってきた女子たちはケチ、だのと文句を言いながらばらばらに散っていった。

気持ちが憂鬱すぎて机に突っ伏せば、おーい、と横から名前を呼ばれる。
顔をあげればとさかのような寝癖のついた髪のクラスメイトが話しかけてきていた。

「何、黒尾。」
「いやさ、入学してきた銀髪のでかいやつ。あれ灰羽の弟?」
「そうだけど。」

とうとう男子にまでモテ始めたか…?なんて冗談を心の中で呟いていれば、黒尾は話を続けた。

「弟、中学のとき何部だった?」
「ああ、リエーフ部活入ってないよ?運動神経いいから試合の時だけ呼ばれたりしてたけれど…」
「じゃあバレー部入れてもいいか?」

ああ、そういえば黒尾ってバレー部の部長だっけ。
副部長の海くんの方が部長らしいなって、黒尾が部長になった時から思ってたけれど。

「別に?私にあいつの部活を決める権限はないし。本人に直接行きなよ。」
「はいはい。」

黒尾がなあ、と声をかけてきたとき、がらりと開く教室の扉。
ホームルームを始めるためやってきた担任が教室に入ってきたため、周りの生徒が着席するためばたばたと動き出す。

「何?黒尾。」
「いや、何でもねえ。」

何だろう。
気になりながらも、始まってしまったホームルームに意識が向いてしまい黒尾に声をかけられたことなどすっかり忘れてしまったのであった。

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