第1章 春、好きだけど嫌い。
私の心は、リエーフだけに跳ねる。
小さい頃から人より抜きん出た身長。
目立つシルエット。
宝石のような瞳に絹糸のような髪。
そして人懐っこい性格。
”アンナっ!”
そう、呼ばれるたび跳ねる心が
”恋”
それだと知ったのは、まだ、私が何も知らない小学生の頃。
きょうだいは結婚はおろか、好きにすらなってはいけない対象だとは知らない。
そんな幼い時。
少しずつ成長するにつれて、この”恋”は重りになっていった。
友達に言われることが何度も胸に突き刺さった。
”きょうだいは結婚できないもんね?”
”うらやましいなぁ。リエーフくんがきょうだいならいいのに。”
じゃあ私と変わってよ。
笑顔の裏で何度も何度も吐き捨てた。
こんな思い、なくなってしまえばいい。
そう思うたびに、私のリエーフへの気持ちはどんどん大きくなっていった。
そんな思いを拗らせているからこそ、私は早く家を出たい。
そう、願っていた。
何年も願い、私は高校3年になった。
大学生になったら私は家を出ることを両親につたえてある。
あと1年我慢すれば、この気持ちからさよならできる。
そう、思っていたんだ。
でも、高校2年の時。
事件が起こった。