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言えない”スキ”の伝え方【HQ】

第4章 春、ネコの玉転がし。



黒尾が話をする中、隣には同じクラスの夜久。
わからないことがあれば質問できるようにと隣に来てくれたらしい。

最初はポジションの話。
ほかの1年生はそれぞれ中学の時にやっていたポジションの名前を言っていたから多分わかるだろう。
しかしほぼバレー初心者のリエーフは「何を言っているのかわからない」という顔をしている。
…ぶっちゃけ私もわからない。

2人してちんぷんかんな私たちを見かねた夜久が念のためと持って来ていた基礎教本を開きリエーフを私の隣に呼び寄せた。

「とりあえず簡単に説明するぞ?灰羽きょうだい。
ウイングスパイカーが攻撃の要。
うちは海くん、山本、福永。
次がミドルブロッカー。
相手からきたボールを止めるってのが主な仕事。
これは黒尾だな。
セッター。トス…んーと、レシーブ、トス、スパイクの順で大体ボールが進んでいくんだけど、それのトスを主にあげるポジション。
うちは2年の研磨。
あのやる気なさそーな金髪。」

「ねえ夜久さん…おれの説明酷くない?」

「だったらその猫背直せって。そして最後な?
リベロ。バレーの試合だと他の選手と違うユニフォームのやつがいるだろ?それが俺。
守備専門、攻撃は無し!いつでもコートに出入り可能!」

とりあえずこんなもんかー、と夜久が呟いたのを見て黒尾が話題をこちらに振る。

「おーい、灰羽弟!お前はミドルブロッカーな?」

勝手に決められたポジションにえー!と抗議しにいくリエーフ。

「えー!俺なんちゃらすぱいかー?がいいです!攻撃専門なんてむっちゃ格好いーじゃないですか!」

専門的な知識もわからず、ただ格好良いからとポジションを選ぶリエーフにやめなさいと声をかけるけれど、リエーフはそのまま黒尾の方へと向かっていってしまう。

だめだ…
こうなったリエーフを私はなかなか止められない…

リエーフの後を追い黒尾の方へ行けば、リエーフの発言を聞いた黒尾がぶひゃひゃと笑った。

「ほんっとーに正直だな、灰羽弟。
つーか、ミドルブロッカーって格好良いポジションだぜ?」

ニヤリ
黒尾が笑いながらリエーフに指を指し話し出した。

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