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言えない”スキ”の伝え方【HQ】

第4章 春、ネコの玉転がし。




「1年3組、灰羽リエーフっす!バレーは体育くらいでしかやったことありません。
よろしくお願いします!」

なぜ。
なぜ私は弟である灰羽リエーフの自己紹介を聞いているのだろう。

「お前がマネージャー代理だからだよ。灰羽姉。」

私の心を読んだのか、ニヤリ、笑みを浮かべながら私にそれを言う部長のとさか…もとい黒尾。


黒尾いわく、バレー部は年中マネージャー不足。
今まではレギュラー外のメンバーでなんとかやってきていたけれど、さすがに限界。
1、2年生からもマネージャーを集ったけれど集まらなかったらしい…
そのためどこの部活にも所属していない私に声がかかったというわけ。

バイトがある。そう言い訳しても、黒尾からは「空いてる日だけでいい。あとは合宿の日に空けてくれれば助かる。」とのことで逃げられなくなってしまい今に至る…

3年、2年、1年の自己紹介がおわり全員の目がこちらに向く。
きゅっ、と体育館の床に擦れた靴が鳴り、余計に恥ずかしい。
私は視線を下向きにして口を開いた。

「3年5組、灰羽アンナです。
普段バイトをしているので開いた日のみのマネージャーになります。
……よろしくお願いします。」

さっさと必要事項のみを話し座れば、そんな私に向けられたあったかい拍手。

それが止む頃には、主将である黒尾の話が始まった。

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