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言えない”スキ”の伝え方【HQ】

第3章 春、お揃いとアイツ。



昼休み。
お弁当を食べ連絡を待っていれば、ぶるりと震えるスマホ。
アプリを開けばやっぱり黒尾からのメッセージ。


”屋上にいる。”


シンプルな文章にOKなスタンプを返すと席を立つ。
そして屋上に行く階段へと向かう。

3年の教室を横切ると、丁度見える階段。
そこを登れば、ドアの前に座り込む黒尾。
よお、とかけられた声に返事を返す。

「出るか、外。」

気怠そうに立ち上がり、屋上への入り口の扉に手をかける。
あれ、屋上は立ち入り禁止じゃあ…
そう思う間も無く、ドアはがちゃりと音を立てノブが回った。
びゅう、と音を立てて風が吹き、思わず目を瞑る。
そっと目を開くと、見えたのは青い空。
澄み渡る空と不釣り合いな肌寒い風にふるり、体を震わすと、ぼふり、と降ってくる布…もとい黒尾のブレザー。

「あり…がと。」

お礼をすれば取って付けたような笑顔。

「で…?返事は?」

ぺたん、ぺたんと上履きをならしながら前へ進み落下防止のフェンスに寄りかかる黒尾。
私も上履きをならしながら黒尾の前に進むと、そっと頭を下げた。

「ごめんなさい。」

くくっ、と笑い声が聞こえ頭をあげれば、黒尾は口元に手を置き私を見る。

「理由は?俺のこと嫌いか?」
「違う。黒尾のことは友達として好きだよ。」
「それじゃあ納得できねえな。」

そう、黒尾は私に言った。

仕方がない。
私は重い口を開いた。

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