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言えない”スキ”の伝え方【HQ】

第2章 春、入学、早々に大問題。




耳に入った言葉の理解ができずぽかんとしていた時、急に引かれる腕の感覚にふ、と意識を戻せば、なぜか不機嫌顔のリエーフが隣に立っていた。

「レー…ヴォチカ…?」
「ねえ、アンナ。この人誰。」
「人の名前が知りたいんだったらまずは自分の名前からだろ?一年坊主。」
「この人の弟っすけど。」

なぜか始まる睨みあい。
ばちばちと散る火花が見えるようで逃げ出したくなるけれど、リエーフに手首を捕まえられていて逃げ出せない。

「ね、リエーフ、黒尾?」

声をかければこちらを見る2人。
その視線に何もいえなくなっていると、いくよ、と言われ掴まれた腕が引かれた。

「っ!黒尾。返事はまた今度っ!」

どんどん進んでいくリエーフに引っ張られ早足で追いかける。
さすがに下駄箱では手は離してくれたけれど、靴を履けばまた、腕を掴まれ引っ張られる。

駅までの道も
電車の中も
最寄駅からの道も

ずっと、手を引かれていた。





家に帰り、片手で鍵を回したリエーフ。
扉を開けばぐいと中に押し入れられる。

バランスを崩し、上がり框に尻餅をついてしまう。

「なにするのよっ!」

抗議しようと張り上げた声。






それはリエーフの唇に

吸い込まれていった。


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