Blutigen Flügeln(進撃の巨人:アルミン夢)
第1章 Blutigen Flügeln
ふいに横から声がかけられ、シャロンは手を思わず止める。そこにはプレートを手にした幼なじみの姿があった。金髪碧眼の彼は夕食をテーブルに置き、シャロンの隣に座る。
「ごめん、さっき並んでた時に立ち聞きしてた。面白そうな質問だと思って答えを考えていたんだ」
「そうなんだ。でも何で『私の息子を食べる気だ』なの?」
思い返せばアルミン・アルレルトはシャロン達の一人か二人後ろに並んでいたかもしれない。考える事を得意とする彼なら、この質問に食いつくのも頷けた。そんな彼が辿り着いた答えの意味が気になり、シャロンは尋ねる。しかし、アルミンはそのままシャロンに質問を投げ返した。
「じゃあ逆に君がライオンだったら、その答えの後はなんて反応する?」
「もちろん『ハズレ、子供は食べる』って…………あれ?」
ある事に気づいたシャロンを見て、アルミンはクスクスと笑う。
「そう、ライオンは正解されたら子供を食べれなくなる。当てられたら食べられない。だから何を言われても『ハズレ』って返して子供を食べるだろう。けれどこの回答をされた時にだけ、ハズレは通用しないんだ」
「ハズレの場合、『食べる気がない』事になるから?」
「そう。正解でも食べれない、不正解でも食べれない。答えが合ってる合ってないに関わらず、食べれない状況に追い込めば良い話なんだ」
シャロンはアルミンの答えに大いに啓発された。単純に答えなどないと思い込み、考える事を諦めていたシャロンとは違ってアルミンは明確な答えを見つけ出した。幼少期からの付き合いとは言え、やはり彼の頭の良さには驚きを隠せない。