第1章 輪廻
周りには、この瞳が不気味だったらしい。
ただ視線をやれば、おぞましいものを見たと言わんばかりに顔を歪められ。
近付こうものなら、罵声を浴びた。
産みの親である母も、私に見るなと追い立てた。
ー何故、私の瞳は紅いのだろう。
いつしか、川面に映る自身の瞳を見て疑問を抱いた事もあった。
しかしいくら悩んでも、答えは分からず。
ついにはこの日がやって来てしまった。
「行くぞ」
無情な男に縄で縛られ、連れて行かれる。
無理やり立たされ足元がふらつくが、気遣われる事も無く引っ張られた。
せめて最期に母の顔を見ようと動いたが、母は背を向けてただただ座っているだけで。
もう声をかけてくれるなと、背が語っていた。
「……っ」
私は叫ぶ事も出来ず、ただただ絶望し、連れられて行く。
男たちに囲まれて、村外れにある大きな樹の前に。
ぬるりと生暖かい風が、頬を撫でた。