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IN DREAM2

第5章 水と火


ルキュリアは少し目を閉じ、深呼吸した
そして目を開けたその瞬間
瞳は黄金色に光り、魔術印が瞳の中に浮かび上がり円を描いてまわりだす

瞳から浮き上がっていく魔方印はルキュリアの中から飛び出し
クライブの目の中へ埋め込まれた

「っ?!」

あまりの速さにクライヴは身構えることができず、そのまま魔術印が瞳を通して頭の中へ潜り込んでいく

他人の魔力が意図せず体に入ることは
意識を朦朧とさせるほど体に不調を起こす
それはクライヴがもつ治癒力でも敵わない拒絶反応

頭痛に襲われ、吐き気を感じ、思わず口を押えるクライヴ
必然的に目線は舌を向き、足元に広がる集落に目がいく
鎮火しているアランも視界にはいる

だが、次第にその光景は消えていき、数時間前の
人間が集落を奇襲していく光景が映る

完全武装した人間に
無抵抗な力のない子供や女のリザードマンが虐殺されていく
どこを見ても男のリザードマンはいない
すでに狩りにでかけた後に起った出来事を見せられている

全てルキュリアが仕組み、みていた光景をクライヴは無理矢理見せられていた

「くっ・・」

消えていく光景
視界はルキュリアの記憶ではなく、クライヴのものへ戻るが
まだ頭痛が続き、ふらつく

「さぁ、君は全て解決できるよ
あたしが犯人だと叫んで、インドリーム全員で挑めば
つよーいあたしでも負けちゃうかもしれない」

「・・・・」

「それとも、インドリームは仲間じゃないからって言って
黙っておくぅ~?」

あおるように選択をせまるルキュリア
だがクライヴは黙ったまま、なにも言わなかった

それは口にはしていないが、後の提案を選んだことの現れ
クライヴはインドリームにルキュリアの事を告げないと決めたのだ
クライヴの選択に満足そうな笑みを浮かべるルキュリア

「やっぱり、君は楽しませてくれるね」

箒にまたがりゆっくりとクライヴの右隣を通るルキュリア

「シャルゼ様に、息子は元気ですって伝えておくね」
「?!」

すれちがいざま、呟くルキュリアの言葉に
クライヴは過剰といえるほど反応した
それは体が先に反応し、恐怖にみちた時の証拠

霧のように姿を消すルキュリアを追いかけて追及しようともしなかった
シャルゼ、という名に見覚えはないが、二度と聞きたくない
いや、知りたくもなかったという気持ちで心があふれていたからだ



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