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IN DREAM2

第5章 水と火


「なんだ・・」

ふらつく視界にと耳鳴を感じた

高い音でクライヴを苦しめるように音をたてるのは
どこからか飛んできた赤い蝶

「また・・見える・・」

高周波の音をたてる赤い蝶は
クライヴの周りを飛んでいた
目で追えば数が次第に増えていく

それでも追い払おうとできないクライヴ
力が残っていないわけではない
ただ振り払える気持ちになれなかった

何かを伝えようと飛び続ける赤い蝶は
クライヴから離れた場所まで飛び、追いかけてくるのを待っているように様子をうかがっていた
「――――・・・」
赤い蝶を追いかけようとしたクライヴ
体はすでに追いかけるために傾いている



「クライヴ!」

「!」

呼ばれた方向を見ると、下から見上げていたのはヒルトだった
「こっちに来てくれ!
人手が足りないんだー!」

「・・・。」

ヒルトを見るが、赤い蝶の行方も気になるクライヴは
周囲を見渡す
だが、そこにはもう蝶は飛んでいなかった

諦めたように降り立ち、クライヴはリザードマンの手当てに力をかした




「アラン、ゼルベウス、見つけたぞ
他のリザードマン達はこの隠道を通ってホルメイン町までむかったんだ」

アランとゼルベウスはジェイクの説明を聞きながら深く考え込んだ
みた限り、リザードマンがつくった隠れ道であることは間違いないが、まだ新しいものだった
もともと町を襲うために作られた道でないなら、周囲の土は乾き、道として固まっているだろう
だが、目の前の隠れ道は違った
掘り出しばかりの土
沼地に近い土地であるせいで、道を整備するために穴をほれば泥がでてくる
粘り気の強い泥土は作った道を塞いでしまう
そして、すでに泥が道を隠しかけていた

「つまりこれは、数日前に掘られた道だな」
「でもどうして・・?
まるで人間からの襲撃を予測していたみたいだわ」
「男のリザードマンだけ先に逃げたっていうのか?
それはないだろ」

道を分析するゼルペウスの後ろで、アランとジェイクは話し合っている
「・・・・襲撃を知っていた・・・・・?」
「え?」

ゼルペウスは一つの可能性にたどり着く
これは全て仕組まれたことである、と――――ー



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