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IN DREAM2

第5章 水と火


突然の出来事に困惑しつつも
未知な体験に興味がわき、尻尾をふるゼルベウス

風に包まれるが、風圧は感じられず飛んでいる鳥たちが巻き込まれないよう高さで飛ぶ
風の中では自由に身動きもでき
まるで一種の結界が空を飛んでいる
そんな雰囲気であった

先頭にたつ茶髪の少年が風を操っているのだろう
銀色のガンドレットを到着した両手に風がまとわりつき
相互に手を動かしながら周囲を見渡している

魔術師ではここまで風を器用に操ることはできない
で、あれば答えは一つ

「君たちは・・まさかインドリームか?!」

世界を救うと予言された者たち
夢を持つ限りその力は無限であり、体内に流れる魔力とは関係なく自然を操れる者
闇の混沌が迫っている時、各種族からその力を覚醒し、生まれる
水族の眷属であるリザードマン、ゼルベウスは初めて目にするインドリームの力に驚きを隠せなかった

アランは自分が水族であること以外、全ての事情を話した
対してゼルベウスはこれから集落に向かう理由
家族を置いていること
そして己の過去も話しておく必要があると感じた

「俺は昔、まだリザードマンと人間が戦っていた時代
ある人間を助けたんだ
彼は兵士だったが、片足をリザードマンに切られ、戦線から離脱し、軍隊から足手まといと言われ、森の中で捨てられていた
当時リザードマンの戦士隊員だった俺は、彼を殺すつもりだったが、その人間が握りしめていた写真に目が移り殺すことをやめた」
「写真?」
「ああ、女性が子供を抱きかかえている写真だ
その男には家族がいたんだよ
・・俺は自分と同じ境遇の人間を殺せず、仲間たちを騙し、人間を助けて家族の元まで送り届けた」

話し続けるゼルベウスに、しばしの沈黙の空気が流れる
聞こえるのは悲しそうに過去を話すゼルベウスの声だけだった

「結果、仲間にばれた俺は裏切者として一族から追い出され
妻、子供たちと長らく会えていなかった
やがて人との争いが終結し、リザードマンでも冒険者として登録ができる時代になり、俺は一人旅をしつつ、生きていた。
・・・もう、人との争いが起こらないことを願っていたがな。」

吐き捨てうる言葉に、アランは動じず答えた

「まだ終わってないわ」
「え」
「まだ戦いは始まってないし、希望もついえたわけでもない。
飢饉でリザードマンが武装し、人を狩ろうとしていても止める方法はあるわ」
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