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IN DREAM2

第5章 水と火


風の速度を緩めながら、ヒルトはライセイが指示する場所へ進める

次第に小さな姿が見えた
それは空からみているからそう感じたのであって
近づくと体格差がハッキリしてくる

全身鱗に包まれた緑の巨体
長い尻尾に錆びた槍やランタンをぶら下げ、二足歩行するそれは
間違いなくリザードマンだった


「ヒルト、あいつよ
あたしが話していた宿屋で差別されたリザードマンは!」
「本当か?!」
「見間違えるわけないわ
お願い、このまま降ろして彼に会わせて」

ヒルトはゆっくり地上に近づき、地上から3メートル離れた場所で風を解き、リザードマンの前に降りれるように調整した



風がかすかに吹いたような感覚に、ゼルベウスは空を見る
その瞬間、目の前に7人の若い人間が姿を現し、反射的に身構えた

「な、なんだ?!」

ほとんどが人間だが、闇堕ちや天族、という異様な人種の集団に危険しか感じなかった


「落ち着いて、あたしたちは敵じゃないわ」

アランは優しく話、両手を軽くあげ、武器を所持していないことを明確に表現した

「敵でなければなんだ・・どうして俺に接触しようとする!」
「あなたと、あなたの種族の疑いを晴らすためよ
お願いだから、武器を下ろして。」

ゆっくり近づくアランは、ゼルベウスが腰にぶら下げている薬瓶に目が映る
「それ、昨日はつけてなかったわよね
どうしたの?」
アランの質問に、ゼツベウスは黙ってしまう
魔女からもらった薬と素直に言えば、危険視され、全員で襲われるかもしれない
そう感じたのだ

「昨日、冒険組合を出てからなにかあったの?」
「!
君は・・あの場にいたのか?」
「いたわよ。
全部見てたわ
だから、力になりたいと思って依頼を引き受けたの
リザードマンにかけられた疑いを晴らして、差別をなくしたいのよ!」


アランの言葉に、ゼルベウスは肩の力がなくなった
まさか人間に、まだこんな純粋な心をもつ者がいたのだと―――ー

槍を背中に掛け、尻尾を丸めて頭をさげた
「すまない、疑ってしまった。
君たちは・・・一体何者なんだ?」

「それは、集落に向かいながら話すわ
とりあえず、集落まですぐそこよね」
「ああ、そうだ」
「急いで行きましょう」

アランとゼルベウスの会話がひと段落ついた瞬間
ヒルトは再度風で包み、ゼルベウスを含めて空に浮かせ
集落のほうへ飛び立った





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