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IN DREAM2

第5章 水と火



「俺の昔のことは、話したくないんだ
その・・おれから聞いておきながら悪いけど。」
「・・構いませんよ
皆さん事情はありますからね」

目をつぶり、優しく答えるユリエフ
そんなあたたかい姿に、光のインドリームとして選ばれた訳がわかったジェイクは一言
「ありがとう」
そう伝え、足元に広がる森を見ていた




アランとヒルトは先頭に立ち
地図を広げてアランが指を指す方向へ風を動かせ、リザードマンの集落へ向かっていた

「アラン、ひとついいか」
「なに、ヒルト」
風を操るヒルトは両手を左右に交差するように動かしながら
隣に立っているアランを呼んだ
ぶっきらぼうに応えるアラン
機嫌が悪いのか、そう思ってしまうほどの素っ気なさだ

「どうしてリザードマンの疑いを調べる依頼を引き受けたんだ?」
「・・・」
「報酬額はとても高額で、お金に困っているならわかるけど、そんな風には見えなかった
だから、期限が間近で危険な内容の依頼を自ら引き受けたのか知りたいんだ」
「そうね・・それはあの宿屋で差別的な扱いをうけていた
リザードマンを見てしまったから、かしら。」
「リザードマン?」
「そう、冒険者として登録していた彼は、ある魚を捕獲する簡単な依頼を受けて、対象と思われる魚を釣り、組合に渡そうとしていた
けど、似ている魚で目当ての者とは違うかった
組合はリザードマンを小馬鹿にして追い払い、かれは渋々再エントリーをしていたわ」
「――――――・・・・。」

アランが淡々と話す内容に、ヒルトは黙って聞いていた

「あたしは、ただ許せなかったのよ
人間じゃないからといって、他種族を虐げているその光景が。」
「・・・それは、アランがそうされてきたからってことだよな」
「!」
ヒルトの鋭い洞察力と的をえている答えに
アランは目を見開く
「アランが水族だってこともわかっているから
そうだと感じたんだ
水族は昔から苦労していたから・・・」

「知ったような口をしないで」

アランの声は、インドリーム全員に届くほど大きかった
ライセイとイリヤが様子をうかがうが、クライヴが途中で止め、ヒルトとアランは大丈夫だ、と言い、近づかないようにさせた
その様子に、アランはため息をつき、冷静に話し続けた
自分が水族であること
過去にされた虐げや屈辱
そして、人ではないという理由で差別される絶望がそれだけ心に傷を負うか
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