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IN DREAM2

第5章 水と火


外見で天族とすぐに判別できるその格好は
一切隠すことなく、むしろ彼女をより一層輝かせていた

「どうかされましたか?」

ジェイクがあまりにもユリエフを見続けていたせいで
さすがに視線を感じたのだろう
少し困った表情で声をかけられたジェイクは、目を合わせことなく口を開いた

「どうして、天族であることを隠さないんだ?」
「え?」

わかりきったことをなぜ聞いてくるのか
そんなことを思っているとしか感じ取れない声で聞き返すユリエフ
それでもジェイクには理解できなかった

10年前の暗黒戦争時
闇族、龍族、火族が主に主導権を握っていたが、配下や眷属となる種族は数えきれず存在し、命の奪い合いに興じていた
だが、天族が戦争を終結させるために広範囲の秘術を使用し、多くの種族の命を奪った時から、彼等は天族を憎み続け、現在でも変わらない
だからこそ、
天族は地上に住む種族にとってみれば、買収や捕虜、殺害の対象と考える者が多くいた

「私は天族がした行いと、自分の正体を隠すことは別問題だと思っています。」
「別問題?
どうしてそんなことが言えるんだ
ユリエフの先祖がしたことで、地上の種族のほとんどはいい目をしないんだぞ」
「・・ジェイク君、私は信じることを曲げてまで人によく思われたいなんて、思いません
大切なことは、私が信じることを成し遂げること。
人はこれを夢とも言いますね・・」

「夢・・・
ユリエフの夢は何なんだ?」
「天族を信仰する人たちも、敵だと認識し、憎しみ続ける人たちも混沌の闇の脅威から守ってあげたいのです。
このインドリームの力が目覚めた時、そう感じました」

みな平等に救う
絵空事のような発言
それでもユリエフの目は真剣にジェイクを見て話していた

「そっか」

まぶしいほど信じれない綺麗な夢
天族として生まれたユリエフは、金の為、一族の繁栄の為だけに動く火族とは比べものにならない
心の底からそう感じたジェイクは何も言えなかった

「ジェイク君は、どこの」
「ユリエフ」

最後まで話すことを許せなかったジェイク
もうこれ以上、種族の話をしたくもなく
さらにどこの種族の者か問われることが、目に見えていた

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