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IN DREAM2

第5章 水と火


「そろそろ行くわよ」


声をかけたのはアランだった

「みんな外で待ってるわ
ここからリザードマンの集落まで徒歩だと時間がかかるから、
ヒルトの風の力で一気に飛ぶらしいわ」

「了解した、すぐにいく」
アランはすぐに外へ出て行き、続いて
クライヴも席を立ち、宿屋の外へ向かおうとする

「なぁ、クライヴ」

ジェイクはどこか不安を混ぜた頼りない声で呼び止める
振り向くことなく立ち止まるクライヴ

「お前は、本当に自分の為だけに旅をしているのか?」

ジェイクの問いに、多くの意味が隠されている
それはクライヴなら理解できた
クライヴにしか知らないことがあったからだ
だが、答えは変わらない
クライヴもジェイクも根本的には同じ想いでここにいると、感づいていたからこそ、こう答えたのだろう

「己を見極めるーーーー
全てそれだ。」


吐き捨てるように口からでた言葉に
ジェイクはどこまで理解できていただろう

まだジェイクの口から話していない事を
クライヴは気づいているのか
だが、それがなんだという
何があろうと、するべきことは変わらない

頭の中で多くの事を考えるが
全てを切り捨て、ジェイクはインドリームとして
仲間たちの元へ向かった


「遅いぞ!ジェイク」

「すまん」

ドーム状に形をつくる風に身を包まれたインドリームの中
ライセイは急かすようにジェイクを呼んだ

「風は俺の意志で包まれるから
そのまま来てくれたら入れるぞ」
ヒルトが話すとジェイクは風に恐る恐る手を触れる

風の感覚は感じられない
確かに目視では風が規則正しく渦を作り、インドリームの周囲を包んでいた
不思議な気持ちになりながらジェイクは風の中に入り込む

周囲からはインドリームの能力に釘付けになり
手を止めて群がる町の住人達

「よし、リザードマンの集落まで一気に行くぞ!」

風の中に包まれているせいか、周囲の音は一切耳に入ることなく体は軽く浮かび、瞬時に地上から30メートル程飛び上がり、そのまま南へと飛んでいった


「・・・・」


町を背景に、ジェイクは隣に静かに立っているユリエフをみた
まるで人形のような白い肌と髪に、黄金の瞳
透明がかかったマントに、水色のタイト型のドレス
だが動きやすく改良された服は天族独自の技術といえるだろう



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