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IN DREAM2

第5章 水と火


「言いたくないなら話す必要はない
お前たちがヒルト達を完全に信頼していなことはわかっているからな」

「いや、そうじゃなくて・・」

ジェイクは一瞬戸惑った
今、真実を告げるべきか
それとも誤魔化して話を変えるか
だがクライヴの洞察力をみるに、嘘がばれるのは時間の問題である
アランの事を勝手に話す必要ないが、せめて自分のことだけでもと思い、言葉につまりながら話した

己が火族であり、暗黒戦争時に犯した数々の血塗られた行いを。
当時、13歳であったジェイクは直接人を殺めてはいないとはいえ、工作員として暗躍していたことから
罪悪感がのこっていた
そしてこの正体を明かすことで、複雑な思いをヒルトを始めるインドリーム達に持ってほしくなかったのだと。

そんなジェイクを少しみつめ、クライヴは責めることなく話した

「お前の選択は間違っていないだろう
過去がどうであれ、あいつはお前を仲間と認め、世界を救うために力を貸してほしいと言っていた
それで十分だろう・・・
おそらく俺が闇に堕ちる前、火族として生まれ、活躍していたのならジェイクと同じ方法をとるだろう」

「闇堕ちの前・・もしかしてクライヴ
お前は過去の記憶がないのか?」

目を真ん丸として聞き返すジェイク

「ああ、あいつらと旅をしているのも、俺が何者か確かめこれからどう生きていくか見極めるためでもある」

「そう・・だったのか」
「お前だけが過去に事情を抱えていると思うな
あのライセイやイリヤも暗黒戦争時の時のことまで遡って話すと
今のような関係ではいられていないだろう」
クライヴの説得に納得がいくジェイクは次第に張り詰めた表情から笑顔ができた

支度をしているヒルトとアランを見ながらジェイクはクライヴにどうしてもこれだけは伝えたいと思った
「もし、俺に何かあってみんなを守れなくなった時
俺の分まで守ってほしい」
「・・・断る」
「え」

予想もしない返事にジェイクは笑いそうになった

「自分の身は自分で守り、己の夢を俺に押し付けるな」
「夢・・?」
「仲間を守ることがお前の夢だろう
それは俺じゃなくても他人に押し付けて達成されることではない
命の危険が迫っていたとしても、生きて最後まで夢をかなえろ」
クライヴの説教じみた会話にジェイクは思わず心が溶けそうになった感覚だったが、的を得ているからこそ先の発言を撤回し同意した
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