第5章 水と火
「そう、この町から離れた場所にリザードマンの集落があるの
近年そこから人を襲うようにリザードマンが町に潜り込み
食料や人を襲っているようなの」
「リザードマン・・かつて竜の血を引いた亜人種のことか」
リザードマンについてつぶやくライセイ
「そのリザードマンを倒すのが目的なのか?」
「いいえ、この町を襲っているのが本当にリザードマンなのか、または偽装している第三者なら、そいつを拘束し、冒険組合に渡すことが目的。
いまのところ、第三者の線は薄いけど、捨てきれない可能性なの」
「わかった、俺たちも協力する
きっと依頼の内容からするに締め切りも間近なんだろ?」
「よくわかるわねヒルト」
「1週間、この町で冒険組合の依頼をしていればなんとなく想像がつくからな
それで、いつまでなんだ?」
「明日の領主の誕生日までよ」
「と、いうことは・・今日中に片付けなくちゃいけないってことぁ?!」
指で数を数えるイリヤは焦りながら聞き返す
「そうね、だからまずはリザードマンの集落に向かって
周辺の様子を調べ、集落から町へ向かった者がいるか確かめる。
もし証拠が見つからなければ、リザードマンの仕業ではないとみて他の可能性を考えるし、少しでも疑わしき痕跡があればリザードマンの族長に話を聞いてみるわ」
冷静に計画を話すアラン
だが、リザードマンに詳しいライセイは対話は難しいのではないか、と危惧する
それは人がリザードマンの低い文化を毛嫌いし、差別をおこなっていたのが理由で集落に何人たりとも入れず、対話も拒んでいた歴史がある
それは今でも変わらず、アランがどれだけ前向きにとりかかろうと、協力する可能性は低くおもえた
だが、それでもアランは余裕に言い返す
゛問題ない゛と。
「あたし、リザードマンとは昔から特別仲良くしてたから」
自身気に満ちた表情で話すアランにヒルトはこれ以上心配は不要と感じたのだろう
躊躇なくアランにリザードマンの集落へともに向かうよう言い、ユリエフ、クライヴ、ライセイ、イリヤに準備を済ませるよう伝えた
淡々と進む日常に呆気を取られているジェイク
そこにクライヴの視線が感じた
「どうしたんだ?」
「いや、お前とアランがなぜ故郷の種族名を口にしなかったのか考えていただけだ」
クライヴの核心をつくような言葉に、ジェイクは顔が固まる