第5章 水と火
翌朝、宿屋の1階の酒場で頭骸骨は木の板にたたきつけられ、鈍い音が響いた
「本当に、申し訳なかったわ」
青い髪を二つに束ね、透き通る肌を羽織で隠した服をきた少女は
隣に座っている赤髪の少年の頭を机に押しつけ
目の前に座っているインドリーム達にむけて謝罪していた
「このバカ・・ジェイクが夜中にインドリームの部屋に忍び込んでいたなんて。」
「・・・。」
二日連続で頭を叩きつけられているせいで思考がうまく働かないのか、それとも反省しているせいか
ジェイクは一言も言い訳することなく頭を伏せているだけだった
「そんな気にしないでくれよ、アランさん
警戒心が強くて勝手に行動する仲間を持つ大変さ、俺はわかりますよ」
笑顔で話すヒルトに、隣に座って腕を組み、眼をつむっているクライヴからかすかな舌打ちが聞こえる
「か、彼もクイラヴ君も仲間思いなのですよ、きっと」
空気をよむように話すユリエフ
それに頷き、その場をしのごうとするイリヤとライセイ
「そうね・・でも改めてよろしく、インドリームのみんな
私は水を司るインドリームアラン・フォースタスよ」
アランがさしのべる手に、ヒルトは握りしめその思いに応え応じた
「さて、この町を出発する日をきめようか」
「仲間は全員集まったことですし、次に向かう場所はここはどうでしょう」
机に広げられた地図に、ユリエフは筆ペンを取り出し、ホルメイン町から少し離れた遺跡を指した
「ここに何かあるの?」
「はい、イリヤさん
ここはかつて暗黒戦争で邪悪な闇の霊を天族が封印した遺跡ですが、近頃ここから闇の瘴気が漏れ出しているという噂がこのホルメイン町で聞いたのです
インドリームとして調査すべき対象かと思います」
「・・その霊の名前は?」
「すみません、それまではわからないんです
おそらく、危険なため一般的に出されていない名前ですね
興味を持った人間が近づかないように、天族が教えなかったのです」
封印された霊の話にクライヴは詳細を確認しようとするが
現時点で不明点が多いため、何も教えることができなかったユリエフ
「じゃままずはここに向かうとしようか
出発は・・」
「まって。」
ヒルトの話を遮るようにアランは口を開いた
「ここを出るのは、あたしが請け負った依頼を済ませてからでもいいかしら?」
「依頼?」