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IN DREAM2

第5章 水と火





「グルーギル、この魚がそれじゃないというなら、本物の特徴くらい教えてくれてもよかったじゃないか」

夜道、一人釣り上げた魚に火を通し、たき火の前でつぶやくリザードマン

宿屋からでて、指定の魚を探していたが日が暮れ、休息をしていた

腰からぶら下げるランタンに火を灯すため
さびた音をたてながらなれた手つきで火をつける

「・・お金をかせぐまでは集落にもどれないな」

ため息をつくリザードマンの背後にはいつの間にか人影が立っていた

「こんばんわ、リザードマン」
「?!」

気配なく背後に立たれたことに、リザードマンの尻尾は直立し、思わず槍をとり、対象のほうへ矛を向ける


「何者だ?!」
「こわがらないでよ、あたしは魔女ルキュリア
あなたの力になってあげるためにきたんだよ」
「魔女・・?
人の世界で禁術の黒魔術を行い、追放された者か」
「そうだよー
まぁ、あたしはそこらへんの魔女と比べものにならにけどね」


草を踏み、確実にゆっくりと近づく魔女
その邪悪で膨大な魔力にリザードマンのウロコが火傷するようにあつく感じた

たき火で照らされた魔女の姿はリザードマンよりも小さく
20代半の女性であった
赤いとんがり帽子にリボンをまき付け、左手には箒をを持っている
紫色と黒色を基調にしたドレスを着飾り腰には怪しげな液体の薬瓶が数本ぶら下げられている


「えっと、たしかこれかな」

なぜか箒の中に手を入れ、腰にぶら下げている瓶と同じ容器を取り出し、リザードマンの足下になげた

「これは?」

赤黒い血液のような色で粘膜のように糸が引いている液体
人ではないリザードマンでさえ危険なものであると判断がついていた

「それは君の力になる薬だよ
もし、巨大な敵があらわれたり、倒すべき存在に己の力が及ばなかった場合に飲めばいいからね」
悠長に話す魔女へ、リザードマンは疑いの目しかなかった

「なぜ、俺のような落ちこぼれにそんな薬を?
俺ではなく、もっと価値のある人間にわたせばいい」
「君にも十分価値はあるよ、リザードマン元戦士長ゼルベウス君」
「?!」

ゼルベウスとよばれたことで、槍を握りしめていた力が弱まる
「なぜ、魔女の君が俺の名を・・
それに、その名はもう40年口にしていない。
きみが生まれる前につかっていた名前だぞ」

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