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IN DREAM2

第5章 水と火


受付には1体の巨大なリザードマンが立っていた
その背中には攻撃された後の、ウロコがはがれかけており、つり竿、槍、ランタンはさびて使い物にならなかった

「どうしてだ!
依頼の獲物は捕まえてきたじゃないか!
ちゃんと見てくれ!」

男の大きな声は宿屋全体に響き渡り、受付を含めた他の冒険者が迷惑そうに見つめた
男の声の正体はリザードマンであった

「ですから、貴方は捕まえた魚は依頼にかかれた目的の種類と似ていますが、それではないのです。」
「そんなはずはっ・・」
「依頼に再申し込みされますか?
それとも、辞退されてその魚を市場に売りつけてきますか?
もっとも、そんなドブくさい魚を買い取ってくれる商人など、いないでしょうが。」
「っ・・」

小馬鹿にする受付の男に、リザードマンは持っていた魚を握りしめ、目の前に置かれた依頼書に再申し込みをするため署名をした

「我、乙のために最高の供物を捧げることを、誓う。
ダント。」
執筆しながら署名したリザードマンは、用紙を受付の男に渡し、宿屋から出て行った


それを隣の受付で見ていたアランとジェイクは自分達の依頼書に署名し、持っていたバケツと魚を受け付けの女性へ渡した

「たしかに、指定の魚を承りました。
これは報酬金です」

革袋に入った金貨を受け取り、中身を確認したジェイクは受付の男と女を見て口を開いた


「さっきのリザードマンは、何の魚と間違えてとってきたんだ?」

「おそらく、グルーギリットという魚とその亜種を間違っていたようです。
グルーギリットは海辺に住んでいますが、亜種は川や沼地にも生息します
亜種が生息する場所にはリザードマンの集落もありますから、すぐに捕まえられる魚を釣り、役人が求めていた依頼に応えようとしたのでしょう」

「冒険者組合に登録している依頼に応えれるのは、冒険者のみ。
と、いうことは、あのリザードマンも登録を?」
「ええ、領主様の政治改革のおかげで、人以外の種族でも冒険者に登録し、依頼をこなすことを許されたのです。
あなた方はこの町にきて3日しか経っていないので、彼らの事もご存知ではないのでしょうね」

「彼ら?」
「ええ。
・・・あ、噂をすればですね」


クスッと笑う女性がみた入り口の扉は強くあけられ、ドアノブが室内の壁にあたり、穴があくのではないかというほど勢いがよかった



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