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IN DREAM2

第14章 土族


クライヴがアンリに薬の調合について教えている光景を
水晶に映し、あくびをしながら見ていた少年は両手を伸ばし、別の存在の気配に気づく
「あ、きたきた」
ご機嫌な少年は立ち上がり、浮いていた数多の球体の水晶を足場にして軽やかに降りて行く
地上には赤いマントを靡かせ、優しい表情でこちらを見上げる男が立っていた
「トレイタスー!
次は君の番だね」
男の名を呼んだ少年は満面の笑みで話しかけ
トレイタスもその少年の名を先に呼び、話し始める
「そうですね、フェアリス
今度の任務は少し時間がかかりそうです。
貴方は上手くいきましたね」
「へへっ!
僕から見ても名演技だったと思うよ。
土族に全ての憎しみをぶつけるようにみせといて
本命は霊光石の正体の解明と、インドリームの殺害実験。
どちらもそれなりの成果が得られて良かった。
アルトリアとシャルぜ様も喜んでくれるよね」
「加えてインドリーム達は貴方が作った分身を本体だと思い、勝ち誇っている。
次に貴方が動いても、すぐには気づかないでしょう。
それにしても、よく本物そっくりに作りましたね」
「傀儡技術の応用さ。
僕の魂の一部を人形に植えることで
僕のクローンが出来上がるのさ。
あと、魂の一部を無くしたところで
魔力を強めれば自然に補充出来るから、デメリットはない」
誇らしげに語るフェアリスは天井に浮いた水晶から吊るした人に目線を送る
「そういえば、あのままだった」
指を鳴らすと水晶が割れ、首にロープが巻かれた神父や修道女が次々と倒れて行く
割れたステンドグラスから陽の光が入り
その死体が死後数日経っている事がよくわかる
「この教会は特に縁があるわけでは無いでしょう。
何故ここを破壊して拠点にしたのですか?」
「縁がない所を敢えて選べば、万が一インドリームの目の前にいるのがクローンだとバレても
本体を探しづらいと思ったからね。
後は、この教会が綺麗だったからだね!
見てたら壊したくなった!」
満面の笑みで答えるフェアリスの頭を、トレイタスは優しく微笑みながら撫でる
「素敵だと思いますよ」
「へへっ、ありがとう」
フェアリスの頭を撫で終え、トレイタスは粉々になったガラスへ視線を向ける
「どうしたの?」
「この教会は天族を崇拝していたのですね」
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