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IN DREAM2

第14章 土族


太く重い鉄の扉を開け、入っていくと
凡ゆる薬草が天井にぶら下がり
木製の棚には隙間なく本と液体の薬が並べられていた
「調合室だから2人入ると少し狭いけど
この椅子で良ければ座ってくれていいわ」
採取した薬草を籠から取り出し終えると
アンリは机の奥に折り畳んでいた
組み立て式の椅子をクライヴの前に置いた。
クライヴは椅子に腰掛け、周りを見渡すと
いくつか見知った薬や、中途半端に調合されたままの物に意識を向く。
「神経麻痺の治療薬とそれの副作用に使う頭痛薬、腹痛薬が
中途半端なのは理由があるのか?」
クライヴの問いに、アンリは手を止める
「先生が古文書を参考に復元しようとしたけど
解読が難しくてそれっきりなの。
材料も、一部憶測で使ったから正しく調合出来ているかわからない。」
アンリは古文書を本棚から取り出し、クライヴの目の前の机に置く。
クライヴは神経麻痺治療薬と書かれた瓶を手に取り、片手で古文書を開けてページを適当にめくっていく
「・・・。
この古文書は今から200年前に、
龍族が使う毒の一部を火族が対抗するために作った治療薬のレシピだな。
この瓶にはどの材料を入れた?」
「北の草原に生えているマッツイ草を15g、烈火の花を2g、イビツの根を2g、花実の種を1g、鉱山の源流水を300ml。
それ以上の材料は解読できなかった。」
「なら、追加でカツカの花弁を2gと橘高石の粉を5g追加しろ。
それから日光に三日間晒せば神経麻痺の治療薬は完成する。
完成した薬に対して三分の一の量で、サツマの花とシネイの樹液を乾燥させ、粉末にしてから混ぜれば頭痛薬は完成する。
腹痛薬は、麻痺の治療薬五分の一の量に出して
白根の花を10g、粉末にして加えれば完成する。」
「ちょっと待って、全部ここにある材料だわ!
すぐに調合できる!」
アンリは棚の上に並べられた粉末を幾つか取り出し
引き出しの中から何種類か乾燥させた花弁の粉を出す。
クライヴは説明した通りの材料が用意されたと分かると
慣れた手つきで薬の調合を始め、机に並べられていた器具も使いこなしていく
「ど、どうしてわかるの?
古文書には失われた古代文字が混ざってたはず!」
「あの文字は偽物だ。」
「偽物?」

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