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IN DREAM2

第14章 土族


「聖天堕としって聞いたことあるかな?」
「ああ。
天族を霊体にして使役するために天界から無理矢理引きずり降ろす術で、確か雷神が開発した禁術だろ?
だが、それは光の神が封印したはずだ。
・・・まさか、封印が解かれ龍族はそれを使い続けていたのか?」
アルヴィートは静かに頷く
「火族が調べた情報と天族が独自に調べた情報を照らし合わせると、それがかなり昔から使われていた事とそれ以上の事が起きていた」
机に広げられた地図を端に避け、一つの巻物をクライヴに渡す
巻物を広げ、内容を読んでいくとクライヴは目を見開いてアルヴィートを見る
「天族の魂を転生させる術の実験、及び成功の報告だと?」
「そう。
奴ら龍族は僕たちを弄ぶだけじゃなくて
自分たちに都合がいい子孫を創るために
天族の魂を媒介に人造龍人を創り出していたんだ」
「・・・・。
媒介となった天族の魔力、能力、生命力は継承され、生まれてくる龍族に必要な遺伝子を母体に受け付けることで
龍族にとって必要な能力だけを備えた兵器が作り出せる・・。」
巻物に書かれた内容を口に出して読み上げ、クライヴは両手に力が入り、紙の端がくしゃくしゃになっていく。
「これがライセイの正体だということか」
「いや、彼はまだわからない。
今のところ確実に人造龍人だとわかっているのは
トレイタス・ラゾーラ。
ライセイ君のお兄さんだよ」
「!」
「この実験がどれほど成功したのかまでは正直わかっていない。
君に見せた報告書も暗黒戦争前に挙げられた報告であり
詳しい事を調べる前に戦争が起きたから調査は打ち切られた。
ここまで話せば僕たちが何故二重に封じたかわかるよね?」
「ああ。
もし異界の狭間から龍族が抜けだせば、また天族が堕とされ利用されるからだな」
「それに加え、都合のいい兵器を作られかねない。
僕たち天族は世界の平和を管理する一族だ。
暗黒戦争のような事態は二度と避けないといけない」
クライヴは巻物を閉じ、アルヴィートに返し考え込む
「このことはインドリームだけには話して構わない。
まぁライセイ君がこの事、知らないだろうけどね」
澄ました顔で立ち上がり、背を向け、天界へ戻るゲートを開けるアルヴィート
「ヒルト達が戻るまでここにはいないのか」
「そうしてたいけど、さっきの堕天使の件を調べないといけないし、仕事が山積みでね。
ここでお暇させてもらうよ」

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