第2章 風を司る者
「監視していたのか、ヒルトの事を」
キャリーに、クライヴは睨みながら切りだした
だが、キャリーは一度も目を合わせる事なく答える
「世界の秩序の守るのがワタクシ達の役目。
当然の事をしたまでですわよ、闇堕ち、クライヴ・ベネディクト」
「・・・。」
「キャリーさん、私は天界へは戻るつもりはありません。
光を司るインドリームとしてヒルト君達と旅をします。」
「ええ、そうでしょうね。
天界での護衛を掻い潜ってまで
勝手に地上に降りたのですから。」
ユリエフの意図は全て見透かされていた
それでもユリエフは決意を揺らがずことなく
むしろこれまで以上に強い信念がキャリーには感じれた
「ユリエフ様は何か勘違いしてらっしゃるようですわ。
ワタクシ、強制送還しに来たのではありませんわ。」
「え?」
キャリーの言葉に、ユリエフは言葉をなくし
終始戸惑う
「ユリエフ様がインドリームとして
地上で旅を続けれるのか、力をみせてほしいのですわ。」
「試す、ということですか」
「ええ、勿論、ヒルト・クローズ達と協力しながらですわ。
仲間と手を組み、見事ワタクシが指名した魔族を討伐ができれば
天界はユリエフ様が単独で地上に降りた今回の件を含め
インドリームとして正式に認めれますわ。」
「よし、ユリエフ、俺もクライヴも一緒に戦うからさ!
そんな不安になるなよ」
キャリーの試練に心構えるユリエフ
緊張感がとれない中、ヒルトは優しく言葉をなげかける
「キャリーさん、俺とクライヴにも詳しく教えてくれ。
どんな魔族を倒せばいいのか、場所、そして魔族がどんな事をして
平和を脅かしているのか。」
「よろしいわよ、ではこれをみてくださる?」
キャリーが取り出したのは小さな白い巻物だった
巻物は空中で浮き留まり、紐は勝手にほどかれ
そして文字が浮かび、同時に内容を表す光景も浮かび上がった
カリカリと何かを削る音が響く暗闇
獣の唸り声
その場に立たずとも感じれる瘴気
風景は次第にしっかりと見えてきた