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IN DREAM2

第14章 土族


「その水晶は君の記憶の一部を封印している。
君が触れると何もしなくても封印は解かれ、記憶が戻るようになっているのさ。」
「!
そんな物、一体どうやって手にいれた?」
「これは天族に保管されている中の欠片さ。」
「欠片だと?
なら俺の記憶のほとんどは天族にあるのか?」
「さぁ、それはどうかな?
それは君が見つけて決めればいいことだ。
試しにその水晶に触れてみなよ。
今まで手に入らなかった部分の記憶が観える。」
「・・・・。」

クライヴはゆっくりと水晶に触れた途端、水晶に亀裂が走り
先までの輝きが嘘のような真っ黒な闇が溢れ、クライヴの中へ一瞬で取り込まれる
目を見開き、少し動きを止めるクライヴ
それは水晶が割れたことへの驚きではない。
クライヴの中に流れてきた過去の記憶があまりに情報量が多かったからだ
十字架に貼り付けにさせられ、炎で全身を燃やされ、別のシーンでは光の剣で串刺しにされている自分がいる。
当時の痛みと憎悪が記憶と伝って湧き上がる。
「っ!!」
記憶が戻る事で手にした力と光を憎む心が同時にクライヴを包み込み、息が出来ないほど自分自身に追い込まれる。
歯を食いしばり、うつむいていた顔をゆっくりアルヴィートに向け、深呼吸する。
その様子を何も言わず、じっと見つめて、手元にあった紅茶を飲み干すアルヴィート
「どうだい?
君が期待していた記憶通りだったかな?」
「・・期待・・・以上だ」
呼吸を整え、割れた水晶の破片を手で払いのける
「いいだろう。
お前の言う通り、動いてやる」
「そうこなくっちゃね」
「その代わり、俺が天界に捕獲されてからあいつら・・・インドリームの安全は確保しろ。
それが大前提だ」
「もちろん。
追加で君と部下の命も取らないように手を回そう。
あくまで君はユリエフ様を覚醒させるためのトリガーであって
死んでしまっては困るからね。
では、これより誓約を交わそう。
君と僕が交わすことでお互い約束を破れないようにする。
もし破った場合の代償はお互いの大切な人の命といこうじゃないか。
「望むところだ。」
アルヴィートはクライヴの右手の甲に魔法印を施し、
それと同じものを自らの手にも施す
演唱なしの誓約魔法。
それは高度な魔力操作が出来る者だけが習得している術。
クライヴは改めてアルヴィートが只者ではないと認識した。

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