• テキストサイズ

IN DREAM2

第14章 土族


山積みになった書類を全員で手分けして作業していく。
黙々とペンを取って記載していく中、ライセイはヒルトの隣に席を移す
「なぁヒルト。
落ち着いた相談に乗ってくれ」
「いいけど、どうしたんだ?」
「正直、どうすればいいのかわからない事があるんだ。
俺の過去のことでな・・」
ライセイはヒルトと目を合わすことなく、自身の右腕を見つめ、すぐに書類の方へ視線を向ける
「イリヤの覚悟も、皆が仲間の事を想う姿を見てると
このままじゃいけないってわかってるのに
どうしても心と体がバラバラなんだ」
「わかった。
とりあえずこの書類を終わらせてから詳しい事は聞くよ」
「ありがとう。」



途方もない書類を少しづつ処理している間、先に帰路についていたクライヴは天族のゲートを通り、
ローランの医務室兼自宅のベランダに辿り着く。
クライヴを最初に出迎えたのは紅茶を啜って優雅なひと時を過ごしているアルヴィートだった。

「おかえり、クライヴ君。
君の分の紅茶も用意してるから一緒にどうかな?」
「・・・先にヒルト達がどうしたのか聞かないあたりから察するに、こうなる事がわかっていたのか。」
「僕の生まれ持った能力のおかげだね。
少し先の未来が断片的に見えたから、だいたい予想は出来た。
イリヤ・マルクが敵の策に落ち、仮死状態になることも
今回の敵の正体も、その後何が待ち受けているかもね。」
アルヴィートは知っていながら何も教えなかった事に感情を込めず淡々と話したせいで、その様子に苛立ちを見せるクライヴは
内側か怒りに身を任せた闇の魔力が漏れる。
張り詰める部屋の中でもアルヴィートは気にも止めず
ティーポットからカップへ紅茶を移し、香りを楽しみながらクライヴの分の紅茶を異空間から取り出し、テーブルに置く
「さぁ、冷めてしまう前にここでゆっくりと話そう。
感情に身を任せていては、この先旅は続かなよ?」
「・・・」
心の中で渦巻く苛立ちをなんとか抑え、クライヴはテーブルの前に立ち、椅子を引いてアルヴィートの正面に座る。
「さて、君は今どこまで記憶を取り戻しているのかな?」
「なんだと?」
席に座るな否や、アルヴィートはクライヴの核心に迫る話題に触れる
「闇の神の復活の時、君は異空間に飛ばされ
そこで監獄を取り込み、一部記憶を取り戻したはずだ。
それはどのあたりの記憶かな?」
/ 820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp