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IN DREAM2

第14章 土族


「力が・・湧き上がっていく!」

イリヤの魂が安定し、景色が次第に薄れ、現実世界へ引き戻されると分かったヒルトも安心した表情で手を引っ張り
イリヤの意識を外に連れていく
「最後まで俺が連れていくから、安心してくれイリヤ」
「ヒルト・・・」

僅かだが、ヒルトの魔力を共有された時、イリヤは感じ取った
ヒルトの中には、一切の負の感情がなかったのだ
仲間が死にかけていれば、きっと敵を憎んだり
死を恐れて恐怖するはず。
だが、ヒルトにはまったくその感情がなく
代わりにあったのは必ず救うという希望と、強い意志のみ。
「そっか、守護神様が言ってた〝彼〟って、ヒルトのことだったんだ」
「?
なんか言ったか?」
振り向くヒルトに、イリヤは満足した表情で首を横に振る
「ううん、何でもない。
ありがとう、ヒルト!」
「どういてしまして。
けど、外ではまだ戦闘が続いてる・・
クライヴとジェイクも合流してるし
皆で敵を追い払おう!」
「うん!」

イリヤとヒルトの意識が現実世界に戻っていくのと同時に
外では塵となったイリヤの肉体が霊光石の力で再構築され
傷一つない姿で形作られていく
唯一前の違うのは、髪色だけだった
カイと同じ深緑色ではなく、色が抜け薄い褐色となり
本当のイリヤの肉体に近づいた色だった
ゆっくり目を開けるイリヤ
その目の前には人型ゴーレムから涙をながしているカイがいた
「姉さん!」
すぐに抱き着き、離そうとしなかった
「よかった・・・本当に、戻ってきたんだ!」
「カイ、心配かけてごめんね。
もう、大丈夫だよ」

イリヤは横で起き上がるヒルトと目があい、先に手を差し伸ばしたのはヒルトだった
「イリヤ、あともうひと踏ん張り、行けるか?」
「うん!」

カイを安全な場所へ避難させ、岩の防護壁を作り、隠す。

遥か上空ではフェアリスと戦闘を繰り広げているジェイク、クライヴ、ライセイがいた
何とか持ちこたえているが、誰かひとりでも傷を追えば戦局が劣勢になる程、逼迫している
イリヤは守護神に言われた言葉を思い出す
「憎しみは、持たない。
持つべきものは、希望、そして、皆を守りたいという夢。」
深呼吸し、武器を持たず、ヒルトへ視線を向ける
「お願い、イリヤをあそこへ連れてって!」
「あぁ!
お安い御用だ!」

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