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IN DREAM2

第14章 土族


イリヤが呼び止めても守護神には届かなかった
ほんの少し、沈黙が続いた
「どうしよう・・・
肝心なことが聞けなかった」
仲間の中で負の感情を持たないのは
聖人のユリエフしか思い浮かばない
だが、ユリエフの事であれば〝彼女〟と呼ぶべきだ
では〝彼〟とは?
深く考えこもうとした途端、突風が吹き荒れ辺りの闇は払われる
「!?」
イリヤの意識は次第にはっきりとし、見覚えのある景色が広がる
且つて、インドリームとして選ばれた日に初めて力を行使した草原。
目の前に傀儡技術研究所に繋がる扉がある
「ここは・・・過去?
それともイリヤの記憶の景色?」

目を丸くしていると
空から聞きなれた声で自分の名を呼ぶ者が見える

「イリヤーーー!」

「ヒ、ヒルト?!」
空から急速で落下してきたと思えば、すぐに体勢を整え、イリヤの目の前に降り立つヒルト
その傍らにはカイの姿をした霊光石もいた
降り立ったヒルトはイリヤの手を握り、ほっとした表情で息をはく
「よかった!
間に合った・・・」
「ちょっと待ってよヒルト!
どうしてここに?!
あっ、いや・・ここはイリヤの中・・・なの?」
「イリヤの中だ。
けど、肉体が崩壊してしまったからとても不安定で
ここに来るのも一苦労したんだ。
けど、意識が残っててよかった!
これで助けられる!」
「肉体が崩壊?」
イリヤは大事な事を思い出す
フェアリスの手によって肉体が完全に壊されたことを。
はっとした顔で今の危機的状況を感じ取る
元々、他者の精神世界へ入ること自体危険な行為だが
肉体が崩壊し、分離した魂が消えかかっている中
敢えて分離側に入ってきたのだ
いつ消滅してもおかしくない状況。
今の分離側のイリヤが消えれば、ヒルトと霊光石も完全に消える
「ヒルト、ここはダメ!
イリヤももうすぐ消えちゃうから」
「大丈夫、安心してくれイリヤ」
ヒルトはイリヤの魂に自分の魔力を共有し、少しでも時間を稼ぐために両手を握ったまま離さなかった
「こっちは任せてくれ、霊光石」

ヒルトの合図と同時、霊光石は全身を光輝かせ、頷く
「君は素晴らしいインドリームだ、ヒルト・クローズ。
そして、私は君をインドリームと認めよう、イリヤ・マルク」
霊光石は形を無くし、イリヤの中へ溶け込んでいく
その力はイリヤのインドリームの力を増幅させ、不安定だった魂は自力で魔力を回復させる
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