第5章 水と火
火族
それは火のエレメンツを持つ傭兵の一族
世界に戦の炎を絶やしてはならないという掟を原則に暗躍する彼らは、生まれつき体の一部に火族である証拠の呪いを埋め込んでいた
もし一族を裏切る者がいれば即死させることができる呪い
その呪いは普段目視できないようになっているが、裏切ったと身内の一人が判断すれば発動する仕組みだ
これにより火族は多くの種族から情報漏洩の心配はされず
絶対的な信頼をおかれていた
金で雇われればどんな所行でもやり遂げるのも特徴であり、非人道的なことから人助けまで行う姿に、多種族からは万能人形と皮肉混じりな名称でよばれることもある
暗黒戦争時は闇族に雇われ、風族の結界の破壊や、水族の捕獲、土族の要塞攻略等、多くの活躍を見せ、闇族長からは報酬以外に闇の神器を授けられるほど賞賛された
だが戦況は龍族の内戦による離脱と、天族による介入により悪化
分が悪くなり、火族全員の危機に直面したことをきかっけにすぐに戦線を離脱し姿を消した
闇族との契約上、一族の危機に直面した場合のみ
暗黒戦争から身を引くことを許されていたからこそ
戦上で最も犠牲者が少なかった種族であった
血塗られた一族
火族に信用などする者は暗黒戦争以来、特定の種族や役人になってしまった
孤独に息をするその少年は、己の一族と運命を呪いたかっただろう
先祖がおこなった事で犠牲になった種族が多く集まる同世代の中に
これからインドリームとして入らなければならないのだから。
火を司るインドリームとして覚醒した少年は一族から離れ、一人旅をする仲間と出会えた
その少女は正体を明かすと多種族に密漁対象として売買されることから姿を人に化かしていた
少年はこの少女について行くことにした
一族が関係しているせいで正体をかせない己と少女が同じように見えたからだ-------。