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IN DREAM2

第14章 土族


傀儡技術は順調に進んでいたが、同時進行で計画していたゴーレム使用の供給魔力について議論が繰り広げられ、イリヤが参加していた会議は延長していた
「所長!
ゴーレムは我々にとって必ず必要になる武器であり、他種族への抑止力だ!
魔力を供給する適合者がいないだけで、研究を止めるのは反対です!」
若い研究者の男が円卓の席から立ちあがり、声を荒げて抗議する
「多額の資金を費やしても魔力供給者がいなければ、ただの土人形だ。
いつ動かせるかもわからない物に、これ以上資金を費やす意味がどこにある?
それなら、別の技術に割く必要があると思うがね」
別の中年の男が机に深々と座り、背もたれに身をゆだねながら足を組んで割り込む
「所長、私はゴーレム計画ではなく傀儡技術の兵器化を推進します。
今はまだ新しい肉体への試験運用前ですが、理論上これは成功間違いなしです。
その次は新しい肉体を兵器に近い造りにし、今生身で戦う兵士達の新しい肉体にするのはどうでしょう?
そうすれば核を破壊されない限り、無限の兵士が手に入り、土族は大陸を守る守護者として名を轟かせますよ」

私利私欲に満ちた男の発言に、普段は黙って話を聞くだけのイリヤが反対の声をあげた
「技術リーダー、それだけは反対です。」
内気で人と話すことが苦手なイリヤが会議で声をあげたことに、会場は静まり返る
「兵士の新しい肉体を提供するということはいいでしょう。
ですが、その肉体は他の人達と同じものであるべきです!
でなければ、一度兵士となった彼らは生涯ずっと戦うことになりませんか!?
彼らの尊厳、選ぶ権利を最初から踏みにじるのであれば、イリヤは」
「わかった、わかった
落ち着きなさい、イリヤ」

白髪と立派な髭を生やした技術所長はイリヤをなだめる
「技術リーダー、傀儡技術の兵器化は私も反対だ。
それならゴーレムの魔力供給源について改造を施すべきだろう。
現時点であのゴーレムを動かせる候補者はいるが
とてもあのお方にお願いできる事ではない。
まぁ、インドリームであれば別の話だろうがね」

所長のインドリームという言葉に、イリヤはピクッと反応するが、あえて何も言わず冷静を装った

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