• テキストサイズ

IN DREAM2

第14章 土族


イリヤは机に立てられた鏡で顔を映す
不規則な生活で褐色の肌は荒れ、吹き出物が多く
前に見た時より顎や頬に脂肪が付き、その顔を触る両手も肉付きが良くなっていた
髪はパサつき、ストレスのせいで白髪も混ざっていた
目の下には睡眠不足が原因でクマが出来、笑う事が少ない日々のせいで表情筋が落ちかなり老けて見えた
「ひどっ」
イリヤの素直な反応が言葉に出る
「今の技術職に着いてから明らかに変わっただろ?」
「昔からイリヤは太ってて馬鹿にされてたけど
これはもっと馬鹿にされる見た目だわ」
鏡に映る顔をじっと見ながら呟くイリヤ
カイは敢えて何も言わず、コートを羽織って身支度を進める
「俺達の片親が巨人だから、多少は頑丈な体だが
これ以上負荷はかけないでくれ。
姉さんは昔から頼み事を何でも引き受ける癖があるけど
自分のキャパシティを越えると
帰って悪循環だからな」
「・・うん」
「じゃあ俺はもう行くよ
彼女との待ち合わせに遅れるわけにはいかないからな」
「うん!
行ってらっしゃい」

イリヤはカイを見送り、1人になった部屋で深くため息をつく
「はぁー」
新しい服を棚から出し、重い足取りでシャワー室へ入り、お湯を浴びながらそこでも鏡に映る自分の体を見つめる
「ほんっと、酷い体だよね」
イリヤは昔から肥満体型だった
内気な性格で、教育施設では友達は出来ず、いつも虐められていた
親に相談したところで環境は変わらず、常に我慢を強いられる日々
そんなイリヤが唯一、没頭できるのは傀儡技術という
新しい肉体の開発だった
僅か16歳で発表した論文に多くの技術者や著名人から評価され
学生生活を終えてすぐに研究員として抜擢された
複数人とチームを組んで進めていく中で
イリヤは傀儡技術の責任補佐官として就任し、多くの仕事と信頼を得たが、同時に嫉妬や嫉みも降りかかり、大人になっても周囲からの対応は変わらなかった
未完成の論文、範囲外のレポート作成や提出した資料が意図的に紛失扱いされ、一文字でも誤字脱字があればその用紙を目の前で破かれる事もある
それでもイリヤは諦めずにはいられなかった
大切な家族を守るためには、何としても傀儡技術とゴーレムの完成が必要不可欠だったのだ
/ 820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp