第14章 土族
フェアリス・アラモードについての過去を鮮明に語れるのは
カイの姉であるイリヤが傀儡技術の研究者であり、アラモードが開発したゴーレムの自立回路を応用して研究を進めていたため
彼の記録についてよく聞かされていたからだ。
土族はアラモードの武功のおかげで闇族を退けられた
だが、その後アラモードは姿を消し、行方不明になったため残った官僚と側近たちで長を務め続けるしかなかった
「アラモード様は、土族に裏切られた・・・そう思ったのだと俺は思う」
カイは切なそうに遠くを見つめて話す
「調査員の記録だと、一度闇を退けたが第一都市は壊滅し、そこから異界で守られていたはずの
アラモード様のお父様の亡骸も見つかったらしい。
だから・・今アラモード様がこの地に戻ってきたのなら
一族の復讐・・・ではないか?」
「・・・・。」
カイの話に、クライヴは目線を下し、考え込む
闇族からの侵略と一族からの裏切りに等しい行為がきっかけでアラモードが闇側につき、堕天したアルトリアと共にいるなら本当にただの復讐なのか
それとも、もっと別の目的があるのか
深読みするクライヴに、カイは思い出したように話す
「あぁそうだ、アラモード様の力の一つ、呪力鍼に刺されたら魂と肉体が分離させられる。」
「なに?」
「きっと俺はその力を使って魂だけ闇に染まって魔族になったんだろう
この肉体は闇でできた借物。
さっきまで一緒にいたもう一人の俺は、きっとアラモード様が操っている肉体だけの俺だ」
「ちっ、だったらイリヤがーーー」
クライヴはヒルトとライセイに事態の緊急性を伝えようと向かった途端、体の半分が消えかけた魔族が必死に逃げ込んでくる
「クライヴ、どいてくれ!」
ライセイは右手にためた雷槍を一機に放ち、魔族の体を貫通させる
けたたましい声と共に消滅していく魔族
後から追いかけてきたヒルトとライセイは魔族を倒せたことで拳を重ね、ガッツポーズをとる
「ヒルト、ライセイ
事は一刻を争うぞ」
「?」
「なにかわかったのか?」
「俺たちとさっきまでいたカイは
アラモードに操られたカイの肉体だ
おそらくマルク家に伝わる家宝の宝石もそいつが持っている」
「え?!」
「どういうことだクライヴ!?」
ヒルトとライセイに答える間もなく
クライヴは勢いよく拳を地面に当て、闇の泥を空間に満たしていく
「何をするつもりだ?!」