第4章 新たな仲間
「風よ、包みたまえ」
「光よ、悪しき魔獣に制裁を!」
魔獣とライセイ、イリヤを中心にヒルトの風が包み、ユリエフの光は矢の雨のように降り注ぎ、魔獣の体を突き刺していく
悲鳴に近いうめき声をあげる魔獣
あまりの苦痛に、人としての感情が入り乱れ、かすれた声で喚く
「も゛う・・い゛やだぁ!」
「ティファール?!」
魔獣ティファールの声に、ライセイは槍での攻撃を止めた
「い゛だい・・ごろじで・・・」
魔獣の眼から血の涙が流れ、疲れ切った口から長い舌は収まらず血が流れ出ていく
「ライセイ、イリヤ達で彼を楽にしてあげよう」
「イリヤ・・・」
「辛いなら最後はイリヤがするよ
ライセイは彼の身動きを封じてくれればいいから」
「いや、おれが最後をする」
「え・・でも」
「大丈夫だ、迷いなんてないし、情けはねぇよ
今のティファールを楽にしてやるのは、これしかない」
槍を構え直し閃光がライセイの体にまとわりつき
それは竜のような形へ変形していく
「準備はいいか、イリヤ」
「まかせて、ばっちりだよ」
「よし、いまだ!」
ライセイの合図と共にイリヤは両手の巨大なハンマーを振り下ろし、魔獣の体に直撃する
吹き飛ばされるが、すぐに体勢を立て直す
「アース・ウォール!」
大地の巨壁が魔獣にかこみ、脱出するために真上に飛び上がる
「いかせねぇよ」
「?!」
「我に集いし雷の化身よ
魔獣に安らかな眠りを与えよ
ライトイング・フォール!」
ライセイが放った槍と雷は魔獣の胸囲に付き刺さり
悲鳴をあげることなく全身を焦がして消えていく
その瞳は死への恐怖ではなく、闇からの解放を喜び安堵するものであった
「さようなら、ティファール」
完全に消えたティファールの体
そこには額に埋められていた宝石のみが残され、魔力をおびた状態で樹海の中に落ち、静かに拾い上げるライセイ
「終わりましたね、ライセイ君、イリヤさん」
「ユリエフちゃんとヒルチ君とクライヴ君が手伝ってくれたおかげだよ」
「そうだな、俺が早とちりしてみんなに迷惑かけてしまったし・・
わるかった・・・。」
「気にするなよ、ライセイ
これからは仲間と力を合わせて協力すればいいことなんだからさ」
優しく語りかけるユリエフとヒルト
イシヤとライセイは照れくさそうにしながら、改めて謝罪と礼をした