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IN DREAM2

第14章 土族


ライセイとヒルトは背中を合わせるようにゆっくり進み、
クライヴは闇の中に姿を隠して敵の奇襲に警戒する

暗い空間の中は壁がどこにあるのかわからないほど
空間感覚を狂わせる構造となっており
神経を研ぎ澄ませて一歩ずつ進まなければ危険だ
まっすく前に進めているのか、すぐ目の前には何があるのか
道は続いているのか何もわからない中
突然前方から低い声が聞こえる

「デテイケ」

男の声は威嚇的でヒルトとライセイ、クライヴへ完全な敵意を向けているが
すぐに攻撃してこないため、ある程度意志を持った上位の魔族だと推測できる
ダメもとで声をかけるヒルト
「魔族を拘束したのは貴方ですか?」
「・・・・」
「俺たちは敵じゃありません
ここにいる人達を助けにきました」
「デテイケ・・・俺にカマウナ」

その魔族はゆっくりこちらに近づき、ヒルトはその姿をとらえる
琥珀色の鉱石で出来た体は細長く、胴体の中心は空洞で
頭部には六つの赤い目玉が浮き上がって四方を見ている
口から見える獣の牙からは飢えた涎がたれ、目の前の存在を今すぐにでも食い殺そうと言わんばかりだ
「返せ・・オレノ体・・」
「体?」
「カエ・・せぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「ヒルト、来るぞ!」
「あぁ!」

魔族は空洞から刀を瞬時に作り出し、四つある手に持たせ高速接近する
「早い!」
ライセイは槍を回しながらなんとか四本の刀の攻撃を防いでいく
「ライセイ、上がれ!」
ヒルトの指示に従い、ライセイは身を反らして空中でバク転し、後方からヒルトが風の砲撃を放つ
魔族は空中に打ち上げられるが、胴体の空洞からマシンガンを作成し、ヒルトとライセイに目掛けて乱射する
弾は真っ直ぐに頭部へ飛んでくるが、ライセイの磁力で全て起動がずらされ、弾同士がぶつかり合い散っていく
「チッ!」
魔族は次の武器を作ろうとするが、それよりも早くヒルトの剣が降り下ろされ、四本の腕は落とされる
「!?」
「風よ、闇に埋もれし魂を浄化せよ!」
インドリームの力によって発生した風の渦は魔族の頭部を破壊し、肉体は粉々に散っていく
そして殻が砕けた卵のように、膜で包まれていた本体が地面に堕とさる
黒い髪に赤い瞳をした男はゆっくり意識を戻す
「大丈夫ですか?!」
ヒルトが駆け寄ると男の姿を見て立ち止まる
闇堕ちとなってはいるが先まで魔族だった者は
カイの姿をして現れたからだ――。
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