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IN DREAM2

第14章 土族


塔の中へ移動したヒルトは息が詰まるような光景を目にする
地面一面に散りばめられた魔族の死体と血だまりが広がり
死臭が空間を包んでいる
「うっ」
咄嗟にこみ上げる吐き気を手で押さえ、耐えきる
「もしかして魔族同士の共食い?」

「そうだろうな」
クライヴは天井に張り付いてこちらを見つめる赤い瞳と目があう
「魔族!」
ヒルトはすぐに大剣を構えるが、クライヴは手を前に出し制止させる
「よく見ろ、あの魔族は拘束されている」
「え」
ヒルトは魔族の周囲に闇の鎖が巻かれて天井に拘束されている状態に違和感を感じる
「魔族同士で戦っていたのなら、どうしてあの魔族は拘束だけされているんだ?
まさか、まだ魔族になっていない人が?」
「どうだろうな
あの魔族からはそこそこ強い魔力を感じる。
それを拘束させる能力は相当な実力者だ
それに、あの鎖は闇で出来ている・・・つまり」
「おい、イリヤとカイさんはどこだよ?!」

説明しているクライヴの話を割って入るライセイ
ヒルトとクライヴは周辺を見渡すが、どこにも姿が見えず気配すら感じない
「俺たちだけが移動させられたってことだよな?!」
「そう、なるよな
どうして何も言わなずに・・?
もしくは移動する瞬間、俺たちは気付いてないだけでトラブルがあったのか?」
「どちらにしても、この中で起きてる事の確認、魔族退治、イリヤの行方不明、やることが多いが
目の前の問題から片づけていくぞ」
焦るライセイとヒルトをなだめるクライヴ
周辺に散らばった肉片から残っている微量の魔力を吸収し、
記憶の断片を見ようとするが
見えたのは目の前で拘束されている魔族に惨殺される瞬間だけで、肝心なことが知れなかった

「だめだ、ここの死体では手がかりが残っていない」
「だったら、先に進もう
クライヴ、お願いがある
もしこの先に魔族が襲ってきても、協力殺さないでほしい。
俺たちの力で救える状態なのか、そうじゃないのか確認したいんだ」
「わかった
だが、死角からの奇襲は対象外にするぞ」
「うん、よろしく!」
ヒルトは再び大剣を握り、ライセイの肩を軽く手を置く
「ライセイ、慎重に進もう
この先から嫌な魔力を感じる」
「あぁ、俺もそれは思ってたんだ
きっとこの先にいる奴があの魔族を拘束したんだろうな」

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