第13章 青い炎
「本当の肉体を持っている側を封印?
どうしてそんなことする必要があるんだ?」
「うん、実はねヒルト君
正確に言えば、この技術は闇に汚染された土族が
魔族化しないように作られたものであって、その対象者しか適用されないの。
完全な魔族化が進む前に肉体と魂を分断し、本当の肉体は封印、けど完全に断ち切れないから分断した魂と肉体の意識はつながってる。
つまり、分身体が見て経験することは本体の肉体も見て感じ取ってることになる。
遠隔操作された生きた人形ってところかな・・。
それがね、イリヤも対象ってことなんだ。」
「?!」
事の重大さを実感でき、その場の空気が張り詰める
「びっくりするよね
ここにいるイリヤは本当のイリヤじゃないもん。
嘘ついてるみたいでごめんね」
「何も謝る必要はないだろ
ようはイリヤの肉体が分身ってだけでそれ以外何も変わらないと思うが?」
「ライセイの言う通りだぜ
俺も肉がどうとか、種族がどうとか、生い立ちがどうとか気にしないよ」
「まぁ、こいつみたいにイリヤも裏切ってたのなら
ひっぱたたくところだったけど、そんなことなら後ろめたくしなくていいわよ。
それに、ある意味あたしだって本当の見た目を隠してるのだからその点はイリヤと同じね」
ライセイ、ヒルト、アランはイリヤに微笑むように優しく語り、ユリエフも黙って頷いていた
「イリヤ、問題は魔族化の原因が不明な状態が進んでいることだ
俺を含め、あいつらはいつでもイリヤと一緒に助けにいくようだぞ」
クライヴもイリヤに優しく語りかける
「あ、ありがとう、みんな!」
「さて、話は済んだことだし
早速土族の移転場所へ飛ばすよ
ジェイク君以外のインドリーム全員を転移させる、でいいかな?」
アルヴィートの問いに、全員が賛同する
転移魔法の発動は早かった
アルヴィートは人差し指に光の球体を宿らせ
対象者の前に光を宿らせ円状に指を動かす
「転移開門〈マターステイス・ゲート・オープン〉」
そう一言告げると対象者は光に包まれ、部屋から姿を消した
瞬時に消えたインドリーム達を部屋の外から見ていたローランとアンリは天族の技術と事の流れの速さに唖然とし
しばらくあいた口が閉じなかった
「さて、僕はこれからここに居座るけど迷惑ではないかな?
もし迷惑であればーー」
「そ、そんなことはない!
ゆっくりしていってくれ」