第13章 青い炎
「私もアルヴィートさんと同じ意見です。
イリヤさん、話しづらいことかと思いますが
ご自身の事をヒルト君たちに教えて下さい
そして土族の被害にあった場所へ行き、原因の究明とすぐに解決させる必要があります」
「・・・」
素性を教え、軽蔑されないだろうか?
そんな不安がイリヤの中で引っかかっていた
例え裏切り者がいたとしても
力づくで助けに行くヒルトや仲間の姿を見てきたので
全てを疑っているわけではない
寧ろ信頼して話せばいいだけのことだ
それでも踏ん切りがつかないのは
イリヤがライセイと出会う前までの経験からだ
「私は、イリヤさんの事情をアルヴィートさんから聞いても
軽蔑なんてしません」
心を読まれたかのように目を丸くするイリヤ
ユリエフは実際にそんな力はないが
相手の表情や複雑な生い立ちから察したのだろう
「土族の皆さんを助けに行きましょう
彼らはインドリームを待っていると言っていました
つまり、イリヤさんの帰還を心から願っているのだと思います」
「す、すぐに決断できなくてごめんね
うん・・行こう、ヒルトや皆んなにも話すよ」
少し顔を歪ませていたイリヤだが
ユリエフの後押しがあり、なんとか土族の元へ行く決意ができた
土族の領地へ行くには距離があるため
特別天族のアルヴィートの力を借り、転移することで時間短縮を狙った
そのためヒルトの元にイリヤ、ユリエフ、アルヴィートの3人で向かうことになり
ジェイクの看病をしていたアランとヒルトは
目の前に現れた3人を見てすぐに言葉が出なかった
見慣れない天族がローランの診療所に入る所を見ていた
クライヴ、ライセイ、ローラン、アンリも部屋へ集まってくる
「えっと、天族のどなたかな?」
何から話せばいいかわからないヒルトは
咄嗟に頭に浮かんだ言葉を口にする
「初めまして、インドリームの皆さん
僕は大天使アルヴィート・バード
インドリームの監査役兼補佐官だ
早速だけど君達には次の目的地である
土族の領地へ向かってもらいたい」
「いきなりそんな事言われても無理よ
ジェイクが目を覚まさないと
万が一のことがあってじゃ守れないでしょ?
それに、いきなりどういうことなのよ」
少し不機嫌なアランはアルヴィートを睨むように話す