第13章 青い炎
「こんにちわ、イリヤ・マルクさん
僕は大天使のアルヴィート・バード。
インドリームの監視役件補佐官だよ」
光で包まれたその体は白く統一されており
その場にいない存在を異能力で映し出していることがわかる
イリヤはアルヴィートが優しい表情を作っているが
その中には多少の焦りを感じているのに気づく
「初めまして。
ユリエフちゃんもそうだけど、何を隠してるの?」
前置きなく本題に入ろうとするイリヤに
アルヴィートとユリエフは目を合わせ、暫く黙ると
アルヴィートから話し始める
「なるほど、僕の立場より事の優先順位が理解できているのは流石というべきだね。
土族第一傀儡開発者、イリヤ・マルクさん」
「―――!
どうしてそれをっ・・
ユリエフちゃんも知ってたの?!」
「私は今さっき知りました
アルヴィートさんと今後の旅の行き先について
相談していた時、優先するのはイリヤさんではないかという話になり、失礼ですが素性を教えてもらったんです。」
「どういうこと?」
「この飛行船はインドリームの力を覚醒させるための
霊光石の在処、もしくはそれに準ずる存在へ導くように設計されている。
そして、導きの光は二つ存在し、一つは君の一族は保有する領地だ。」
「もう一つはどこなの?」
「・・・龍族が封印されている彼の地だ
場所は極秘事項だから詳しく話せない。」
「ってことは、ライセイとイリヤが対象だけど
イリヤを優先する必要があるのは何?」
アルヴィートは先まで見せていた優しい表情を一変し
深刻な顔つきとなる
「土族の中で突如魔族化が始まったと
土族長より伝達あがった。」
「!?」
「原因は調べている最中だが、まだわからない。
被害を拡大させないために、他の傀儡師と有力者達が結界を築き、魔族化した者と民達を隔離させているようだが
被害は深刻のようだ。
もしかすると暗黒戦争の影響が要因で」
「そんなはずない!」
イリヤは大声を上げ、アルヴィートの話を遮る
「闇に侵食された皆、イリヤと同じ場所にいるはずだし、もしその人達が発端ならイリヤだって・・・あっーーー」
アルヴィートとユリエフが深刻な表情をしている一番の要因に気付き、言葉を失うイリヤ
「事態は急を要する。
ジェイク君のことでインドリームは疲弊しているだろうが
すぐに移動する必要はあるよ」